2018年「5月臨時議会」~2019年「2月県議会」

1.2018(平成30)年『5月臨時議会』報告

(1)概要
『5月臨時議会』は、①議席指定、②会期決定、③議長・副議長辞職の件、④議長・副議長選出、⑤今後の議会運営について、でした。
 
当日、議長・副議長の選挙が行われ、以下のとおり議長・副議長が選任されました
   第68代議長 :井上 順吾 (自民、大野城市)
   第80代副議長:畑中 茂広 (民主、みやこ郡)

 2.2018(平成30)年『6月県議会』報告

(1)概要
県議会は、6月定例会が6月7日に開会し、6月25日まで19日間の会期で審議が行われました。
今議会では、予算案の提出はなく、条例11件、専決処分21件、契約7件、人事3件など計23件の議案の提案がありました。

主な提出条例は、「知事及び副知事の給与の特例に関する条例」、「福岡県税条例等の一部を改正する条例」「地方活力向上地域における福岡県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例」などです。
 
今回の代表質問に先立ち、2か月前から10回の政策審議を行いました。
代表質問の登壇者は、渡辺美穂議員で、県政推進の基本姿勢について5項目、県土整備行政について2項目、教育行政について2項目、計9項目にわたり、知事並びに教育長に質しました。
 
一般質問にはわが会派から8人が登壇しました。
議会最終日には、23件の議案と、意見書としてわが会派が提出した『規制改革による「ライドシェア」について慎重に議論し、良質で安全なタクシーの適正化・活性化に必要な諸施策を求める意見書』など4本が採択され、わが会派が賛成した『「日米地位協定」の抜本的改正に取り組むことを求める意見書案』については、自民党、公明党、緑友会の反対により否決され、閉会しました。
 
わが会派の代表質問の概要と一般質問、本議会の特徴は以下の通りです。
 
(2)代表質問(6月13日 登壇者 渡辺美穂 議員)
代表質問は6月13日(水)、渡辺美穂議員(太宰府市)が行いました。
 
【県政推進の基本姿勢について】
1.地域公共交通のあり方
① JR九州の大幅減便を伴うダイヤ改正や、西鉄バスの路線再編等の影響について。
補助金などをうけているにも関わらず、採算性というだけで大幅減便を行っている、JR九州や西鉄の姿勢について。生活インフラの一部である地域交通を担うJR九州と西鉄の企業としての社会的責任について。

② 「福岡県交通ビジョン2017」の役割について。今回のような大幅減便に全く対応できていない状況について、知事としてどのように考えているのか。ビジョン達成に向けた行程について。
 
〈知事答弁〉
① JR九州の今回のダイヤ改正は、沿線住民の日常生活の維持に極めて重大な影響を及ぼすものであり、県では、その見直しを求めてきている。JR九州は、今回の改善要望をしっかり受け止め、ダイヤの見直しに反映させていただきたい。西鉄バスについては、路線再編に伴う影響の把握に努めているところである。

② 交通ビジョンでは、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、交通ネットワークの維持に取り組むこととしているが、具体的なダイヤや路線について規定するものではない。交通ビジョンは、平成33年度までを計画期間として、施策目標の達成に向けた取組みを行うこととしている。
 
2.国の交付基準における不当な地域区分の是正
① 国庫補助負担金の交付基準に係る地域区分の再調査の結果について。
② 地域区分の是正に係る国への要請について。
 
〈知事答弁〉
① 基本額に上乗せされる各種の加算措置について、今年度に入り、直ちに調査した結果、基準に地域区分を採用しているものは、保育所運営費の施設職員を手厚く配置した場合の人件費加算が5件、施設の暖房費などの寒冷地加算が6件の計11件であった。これらは、国家公務員の地域手当や寒冷地手当を基に区分されており、地域区分の差について、いずれも合理性があると判断している。

② 「子どものための教育・保育給付交付金」の減価償却費加算については、これまで、所管の内閣府に対し是正の要求を行ってきている。引き続き見直しを国に要請してまいる。賃借料加算については、今回、地域区分ごとの具体的な加算額の差について精査を行った結果、実勢価格と乖離していることから、実態に即した加算となるよう国に要請してまいる。
 
3.性的少数者が生きやすい社会づくり
① 性的少数者、いわゆるLGBTの人たちが安心して生きていける社会づくりが先行する、福島県の取組に対する評価。「福岡県総合計画」や「男女共同参画計画」における、LGBTを取り巻く課題の位置付けについて。

② 全国で初めて都道府県として、LGBTを対象とした就労支援を始めた大阪府の取組みに対する評価。LGBTの方が、不当な差別などを受けないための就労支援体制の整備と、企業の意識啓発、それぞれを推進するため、県としてどのように取り組んでいくのか。

③ 「パートナーシップ宣誓制度」の創設と性的少数者が生きやすい社会づくりを推進する条例の制定について。
 
〈知事答弁〉
① 「ふくしま男女共同参画プラン」は、性的少数者に関する正しい理解と認識を深めることに寄与するものと考える。本県の「福岡県総合計画」及び「男女共同参画計画」の次期計画の策定に当たっては、課題を整理した上で、性的少数者に対する取組みの位置づけ方について検討してまいる。

② 大阪府の取組みは、先進的なものであると認識している。県では、これまでも、性的少数者を含め、すべての方に等しく人権に配慮した就労支援を行ってきた。また、県内の労働者支援事務所において、働く上で生じた問題に対する相談支援も行っている。今後、相談業務に携わる者を性的少数者に関する研修に参加させ、その理解を深めさせるとともに、周知広報を強化し、性的少数者の方が安心して相談に来ていただけるようにしてまいる。また、昨年度、経済団体や性的少数者の支援団体と協力しセミナーを開催するとともに、配慮すべき事項をまとめたガイドブックを作成した。併せて、今年度から、企業の公正な採用選考の冊子「企業と人権」に、解説と配慮すべき点を追記し、更なる意識啓発を図ることとしている。

③ 県としての独自のパートナーシップ宣誓制度については、市町村との連携や運営方法などの課題があると考える。したがって、すでに実施されている制度の状況を確認するとともにこうした課題について研究してまいる。条例の制定については、国の性的少数者に関する法整備の動向を十分注視した上で、考える必要がある。
 
4.優生手術に関する実態把握と被害者救済
① 本人の同意を要しない優生手術に対する知事の認識について。
② 本県で行われた、本人の同意を要しない優生手術件数。個人が特定できる記録の保存状  況について。
③ 不妊手術を強制された方々への国の謝罪と補償に係る知事の考え。
 
〈知事答弁〉
① 当時、国の機関委任事務として、法に基づき実施したこととはいえ、本人の同意を得ずにそのような手術が行われたことは、大変痛ましく、関係者の皆さんのお気持ちを考えると、いたたまれない思いになる。

② 昭和24年以降、県が発行している衛生統計年報、衛生行政の概要に、昭和25年、27年を除き記載があることがわかり、本人の同意を要しない優生手術件数は、364件であった。また、個人が特定できる記録については、昭和55年度、56年度の優生保護審査会の資料6名分のみが、公文書館に保存されている。

③ 本事案については、法律に基づき国の機関委任事務として実施したものであるため、全国統一した対応が必要だと考えている。国では、各都道府県を対象に、保管している資料の実態について全国調査を開始しており、本県においても、真摯に対応しているところであ
 
5.産業廃棄物問題
① 昨年5月、産業廃棄物の中間処理業者である「エコテック」が、法定保管量の5倍を超えた約2万立方メートルもの野積みされた廃棄物から大規模な火災を起こした事案における、排出事業者責任による廃棄物撤去について。
② 排出事業者責任による廃棄物撤去の今後の対応について。
③ 早期の排出事業者責任追及を期ののもてるにをしゃせきんにをもにはした場合は、処理豪奢視野に入れた監視指導について。
 
〈知事答弁〉
① 県では、これまで、エコテックに保管されていた処理委託契約書やマニフェストを精査するとともに、他県から情報収集を行い、改善命令を発出した平成24年5月以降に同社に処理を委託した排出事業者183社を把握したところである。このうち44社は、エコテックが廃棄物の処理をほとんど行っていなかった状況を確認することなく委託を行っており、その結果、大量の廃棄物が未処理のまま事業場に残されることとなった。このため、これらの事業者は、排出事業者としての責任を果たしていないと判断し、撤去を要請することとしたものである。

② 現時点で、撤去の意思を確認できている排出事業者は7社となっており、去る5月30日に、最初の撤去が行われたところである。他の事業者に対しても、関係自治体とともに、個別に訪問し、排出事業者責任を果たすよう強く要請している。要請に応じない場合は、措置命令の発出を検討してまいる。

③ 今後は、不適正処理が疑われる早い段階から、委託契約書やマニフェストなどを徴収し、排出事業者ごとの廃棄物受入状況や処理実態を詳細に把握することによって、早期に排出事業者の責任を追及できるようにしてまいる。
 
【県土整備行政について】
1.太宰府市及び周辺における渋滞対策
① 太宰府市の日常の渋滞問題について。県内有数の観光地太宰府の観光客向けの交通・駐車場対策について。
② 県道筑紫野古賀線の太宰府市内の整備について。
③ 太宰府天満宮周辺の県道筑紫野古賀線における交通安全対策について。
 
〈知事答弁〉
① 太宰府市では、国、県、警察、学識経験者、交通事業者に参加を求めて、「太宰府市総合交通計画協議会」を設置、交通渋滞の実態調査に基づく協議や現地視察等が行われている。県としては、今後の訪日外国人観光客の移動の動向を踏まえながら、この協議会で、交通渋滞に関する解決策を探っていきたい。

② 太宰府市内においては、松川交差点から宇美町境までの約2.2kmの区間において、4車線化事業を実施しており、これまでに用地買収と一部区間の工事を行っている。現在は、大型物件の用地買収を進めているところである。残る用地買収や工事の実施については、太宰府市とも連携し、地元の皆様方のご理解とご協力をいただきながら、今後も着実に進めてまいる。

③ 県ではこれまでに、①天満宮周辺に流入する通過交通の排除を目的とした、筑紫野市原交差点から松川交差点までの約3.1kmのバイパスの整備、②天満宮周辺の現道区間は人家連坦地域であり、道路拡幅による歩道整備が困難であるため、歩行空間の明示により車両と歩行者の錯綜を抑制する路肩のカラー舗装化、を実施したところである。
 
2.本県管理河川の水害対策
① 水害対応タイムラインの策定の進捗状況について。
② 県管理河川のホットラインの構築について。
③ 県管理河川の洪水浸水想定区域の見直しの現時点での進捗状況について。
 
〈知事答弁〉
① 昨年度までに、県管理河川の水害対応タイムラインを策定した市町村は、赤村と志免町の1町1村となった。また、10市町において、今年度内の策定を目指し作業が進められている。

② 5月末までに全53市町村との間でホットラインの構築を完了した。ホットラインの構築にあたっては、昨年の出水期に6市町において試行を行い、その結果を踏まえ、メールの自動配信と、県土整備事務所長、支所長から直接携帯に電話する、この2つの方式を採用した。

③ 昨年度から見直しに着手していた一級河川の県管理区間など、優先度の高い31河川は、今年の4月27日に、区域図を公表するとともに、関係市町村に通知を行ったところである。また、昨年度未着手であった残り9河川についても既に着手しているところであり、来年の出水期前の公表を予定している。
 
【教育行政について】
1.中学・高校における制服選択制の導入
① 中学・高校における制服選択制について、県教育委員会としての見解。
② 県立高校における制服選択制の検討について
③ 県内市町村の公立中学校における制服選択制について
 
〈教育長答弁〉
① 常に制服の着用を義務付けるのではなく、保護者の負担にも留意しつつ、状況によっては体操服等の着用を認めたり、女子生徒がスカートかスラックスかを選択できるようにするなど、制服着用の弾力化を図る必要があると考えている。

② 県立高校においては、保護者代表も参加する「物品選定委員会」を全校に設置し、制服の仕様を大幅に見直す場合には、この委員会で基本的な方針を策定することとなる。県教育委員会としては、これまで、副校長・教頭会や生徒指導主事研修会等の場で、性同一性障がいの生徒に対する服装面での配慮を指導してまいったが、今後は、機能性や防犯対策など、より幅広い観点から、校長に対し選定委員会における制服選択制の検討を促してまいる。

③ 中学校においても、制服着用の教育的意義を踏まえつつ、防犯の観点や機能性への配慮を行うなどの制服着用の弾力化を図ることは重要であると考えられることから、今後の県立学校の取組みについて、市町村に情報提供を行ってまいりたい。
 
2.常勤講師の給与体系の改正
① 常勤講師の給与体系の改正について。県立学校の講師と市町村立学校の講師との給料の差について。
 
〈教育長答弁〉
① 常勤講師については、今年度から給料月額の上限を実質的に撤廃し、県立学校、市町村立学校ともに、その者の経験に見合った給与水準となるよう、給与体系を見直したところである。県立学校と市町村立小中学校の常勤講師間の給料が異なることとなるのは、それぞれの学校の教育職員に適用される給料表が異なるために生じるものであり、やむを得ないものと考えている。
 
(3)一般質問(6月15日~18日)
 6月15日(金) 
  ◎佐々木 允 議員(田川市)
   ① 再生可能エネルギーの普及促進について
   ②部活動のあり方について
  ◎大田 京子 議員(福岡市南区)
   ①誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現について
  ◎田辺 一城 議員(古賀市)
   ①予防接種の免疫を消失した子どもの再接種に対する公費助成の促進について
   ②骨髄ドナー支援の推進について
   ③地域包括ケアシステムと連携したペット飼育支援体制の構築について
 6月18日(月) 
  ◎野田 稔子 議員(八女市・八女郡)
   ①共生社会の実現に向けた本県におけるバリアフリー化の推進について
  ◎原中 誠志 議員(福岡市中央区)
   ①気候変動に対応する筑前海の水産業の振興について
   ②対馬混乗寄港便の活用について
  ◎中村 誠治 議員(久留米市)
   ①少子・高齢化の対応について
  ◎岩元 一儀 議員(北九州市八幡西区)
   ①ドローン利用やIoT普及促進について
   ②ネット依存・トラブル防止に向けた取り組みの充実について
   ③北九州地区における放置竹林対策と少花粉スギへの植え替えについて
  ◎堤 かなめ 議員(福岡市博多区)
   ①新生児里親委託(赤ちゃん縁組)の推進について
 

3.2018(平成30)年『9月県議会』報告

(1)概要
9月県議会は、9月7日に開会し、10月12日まで36日間の会期で審議が行われました。
今議会では、予算案1件、条例9件、契約4件、経費負担6件など計20件の議案の提案がありました。
 
主な提出条例は、「福岡県議会議員及び福岡県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスター等の公営に関する条例の一部を改正する条例」、「福岡県個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」「福岡県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」などです。
 
今回の代表質問に先立ち、2か月前から11回の政策審議を行いました。
代表質問の登壇者は、大田京子議員で、県政推進の基本姿勢について6項目、農林水産行政について1項目、障がい児保育の拡充について、教育行政について1項目、計9項目にわたり、知事並びに教育長に質しました。
 
一般質問にはわが会派から8人が登壇しました。
 
9月27日には、20件の議案と、意見書としてわが会派が提出した「地方財政の充実・強化を求める意見書」、わが会派が共同提案した意見書3本計4本が採択され、わが会派が賛成した『「主要作物種子法」の復活を求める意見書』については、自民党、公明党、緑友会の反対により否決されました。
 
わが会派の代表質問の概要、および一般質問・決算特別委員会における質疑の項目は以下の通りです。
 
(2)代表質問 
9月13日、登壇者は大田京子議員(福岡市南区選出)でした。
 
【県政推進の基本姿勢について】
1.県職員による不祥事の再発防止
① 昨年8月からこの1年間で8人の逮捕者がでるなど、不祥事が相次いでいるが、今後の不祥事再発防止について。
② 不祥事が相次いでいる事態について、知事はその責任をどのように受け止めてるのか。
 
〈知事答弁〉
① 様々な機会を通じ、職員に声をかけ、意見を聴き、信頼関係の構築に努めている。これからも風通しの良い職場づくりに全庁を挙げて取り組み、不祥事の再発防止に努めてまいる。

② 県行政のトップとして責任を痛感しており、再発防止に全力で取り組むとともに、県政の推進に邁進し、県民の皆様の信頼を回復しなければならないと考えている。
 
2.西日本豪雨災害への対応
① 2018年7月の豪雨災害における、県管理河川での被害状況と特徴について。
② 県管理河川の維持管理や改修工事について、どのような優先順位をつけているのか。
③ 今後の浸水対策を含む防災対策の充実について。
④ 土砂災害対策について。
 
〈知事答弁〉
① 浸水被害が49河川、護岸や堤防の施設被害が373箇所で発生している。今回の豪雨では、昨年の九州北部豪雨のような局所的な被害とは異なり、県内の広い範囲にわたり、被害が発生している。

② 維持管理については、所管の県土整備事務所が治水上の安全度を判断し、実施している。河川改修については、過去の浸水被害、流域の人口や家屋などの集積状況、費用対効果などを総合的に勘案し、優先度が高い河川から実施している。

③ 今回の災害で特に被害が大きかった河川については、浸水状況やその要因を共有し、点検、確認、検証を行ってまいる。国や特に甚大な被害を受けた広島県、岡山県においても検証を行うこととされており、今後これらの検証結果を踏まえて、必要に応じて地域防災計画の改正などを行っていく。

④ 県では8箇所の災害関連事業が採択された。さらに、国により全国を対象に激甚災害に指定されたことから、高さ5m以上、保全家屋数2戸以上のがけ崩れ箇所についても、市町村において災害関連事業を実施することが可能となった。県としては、市町村に対する技術的支援を行いながら、事業採択に向けて国に働きかける。
 
3.在福岡タイ王国総領事館の開設を契機とした日タイ交流の促進
① バンコク都及びバンコク都議会との友好提携を軸にした交流の成果と意義について。
② 総領事館開設に向けた進捗状況と開設を契機とした交流深化のための取組みについて。
③ タイとのスポーツ交流の推進について。
 
〈知事答弁〉
① このたびの総領事館の福岡設置は、県議会及び県が相互に連携し、タイとの交流を積み重ねてきた結果が結実した大きな成果である。福岡県とバンコク都のみならず、日タイ間の交流に更に弾みをつける上で大変意義深いものであると考えている。

② 現在タイ政府において、開設に向けた準備を着々と進めているところである。タイ総領事館開設を大きな契機として捉え、人的交流を一層促進するとともに、経済交流、文化交流等の拡大につなげていくなど、バンコク都をはじめタイ王国との友好交流関係を更に強化していきたい。

③ タイ政府のスポーツ庁関連事務所が本県に設置されることとなれば、タイと本県とのスポーツを通した交流が推進されることにもなる。まずはタイ政府の意向等情報収集に努めていく。
 
4.入札評価項目の見直し
① 近年の建設労働者不足に対する認識について。
② 入札参加資格審査の加点評価に地域貢献活動を導入した目的及び成果について。
③ 建設労働者の適切な賃金・労働条件確保を地域貢献活動評価項目とすることについて。

〈知事答弁〉
① 本県では、建設業関係職種の求人が求職を大きく上回る状態が続いており、その中でも建設躯体工事の職業では深刻な人手不足に直面している。この状況を踏まえ、本年度から新たに、認定職業訓練に「躯体基礎科」を加えた。

② 県が推進する施策への積極的な協力を促すため、平成25年度から導入している。地域貢献活動の実績の申請件数は年々増加してきており、企業における地域貢献活動の取組みは着実に広がっている。

③ 働き方改革を通じた、労働環境の改善や適正な労働条件確保の取組みについて、加点評価の項目に追加できないか、検討を進めていく。賃金は本来労使間で自主的に決定されるものであり、これを加点評価の項目に加えることについては労使双方の意見を十分に聴いた上で、慎重に判断しなければならないと考えている。
 
5.外国人のための医療体制の整備
① 県内25消防本部における119番通報への3者(通報者、消防本部の指令員及び通訳者)間同時通訳の導入について。
② 外国人のための医療相談体制(「医療に関する外国語対応コールセンター」)について。
 
〈知事答弁〉
① 16消防本部がすでに導入済みであり、残り9消防本部のうち、7消防本部が東京オリンピック・パラリンピック開催までに導入することとしている。残り2つの消防本部に対し、東京オリンピック・パラリンピック開催までに導入するよう、促してまいる。

② 県では、医療通訳についての知識や経験、語学力、通訳者の技能向上などについて審査を行い、「医療に関する外国語対応コールセンター」の事業者を選定している。通訳者の語学認定の取得を進めていくよう、受託事業者と協議しているところである。
 
6.人口減少地域における地域振興
① 本県のUIJターン促進の取組みとその成果について。
② 市町村の移住施策において、特徴的な施策や成功している事例について。
③ 「地域おこし協力隊」の活動状況について。
④ 任期を終えた隊員の定住状況及び県の定住支援について。
⑤ 島根県立隠岐島前高校における特色ある取組みについて。
⑥ 本県における、地域の発展にも寄与できる、魅力ある学校づくりについて。
 
〈知事答弁〉
① 平成28年7月、「ふくおかよかとこ移住相談センター」を開設し、今年の8月末までにセンターを利用して移住された方は24市町247名で、このうち福岡市への移住が118名と最も多くなっているが、64名が人口が減少している市町村に移住している。

② うきは市では移住希望者へのきめ細かな対応による支援を行い、昨年度は18人が移住している。また、久留米市では「トライアルステイ」などを実施し、昨年度は618人が移住している。

③ 平成29年度、31市町村において132名の地域おこし協力隊が活動している。今年度は7月1日現在で、36市町村において125名の隊員が活動しているほか、新規に隊員を募集する2町3名を含め、計30名の募集が行われる予定となっている。

④ 平成22年度の地域おこし協力隊受け入れ開始以降、昨年度末までに21名の隊員が任期を終え、その約7割にあたる15名が任地あるいは近隣の市町村に定住している。県では、県内の隊員を集めた交流会、活動報告会を開催し、任期満了後の定住促進に努めている。

⑤ 先進的な教育活動が注目され、県内外からの入学希望者や交流人口が増加していると聞いており、学校を中核とした地域活性化の好事例として、本県県立高校にとっても参考になるものと考えている。
 
〈教育長答弁〉
⑥ 現在、嘉穂総合高校においては、産業用ドローンを活用し、地域産業への貢献を視野に、農薬散布や空中撮影、プログラミング技術の習得等に取り組んでいる。また、伝習館高校では、部活動を中心に、地元の食文化であるニホンウナギの保全を目的として、その生態の研究を続けている。県教育委員会としては、生徒が自ら課題を発見し解決する能力を身につけ、将来、地域の発展に貢献できるよう、こうした魅力ある学校づくりを支援してまいる。
 
【農林水産行政について】
1.本県における主要農作物種子の保全
① ハイブリッド種子(第一世代の種子)とGM種子(遺伝子組み換えの種子)について。また、本県でGM種子を利用した栽培は行われているのか。
② 遺伝子組換え農作物加工食品について。
③ 「主要農作物種子法」の廃止について。
④ 種子の安定供給に関する条例制定について。
⑤ 「福岡県稲、麦類及び大豆の種子の安定供給に関する基本要綱」の周知について。
 
〈知事答弁〉
① ハイブリッド種子は、本県で栽培されるトマトやナスなどの野菜の多くで利用されており、人体への影響はないものの、農家自らが種苗をつくることができないことから、毎年、種苗を購入している。GM種子については、本県では栽培の実績はない。

② 加工食品の原材料である遺伝子組換え農作物が国の安全性審査の手続きを経て公表されたものでない限り、当該食品の製造、輸入、販売等が食品衛生法により禁止されている。本県への流入の状況については、わからない。

③ 県としては、米・麦・大豆の優良種子の安定供給に取り組む必要があると考えており、本年7月、県議会とともに地方交付税措置の確保について国に要望したところであり、引き続きその働きかけを行ってまいる。

④ 県では、今回の種子法の廃止に伴い、米・麦・大豆の種子の安定供給を図るため、種子の生産計画の策定や異品種混入防止のための審査などについて、基本要綱を定めたところである。

⑤ 本年4月以降、農協及び生産者に対する説明会などを実施した。特に、生産者に対しては、
現地講習会や種子生産部会の会議などを活用して説明を行うとともに、チラシを作成し、その周知を図ってきた。

【障がい児保育の拡充について】
① 障がい児の保護者が希望する就労形態で働けていないことの認識について。
② 特別支援学校幼稚部に通う子どもの預け先の整備について。
③ 知的障がい者、肢体不自由者、病弱者に対する県立特別支援学校の幼稚部の設置について。
 
〈知事答弁〉
① 5月1日現在で、1,703人の障がい児を県内保育所において受け入れている。しかしながら、専門的知識を持つ人材やその雇用に要する経費を確保することが困難であるといった市町村の声も聞いており、保育を必要とする全ての障がい児を受け入れるにあたっては、このような課題があると認識している。

② 特別支援学校幼稚部に通う児童の放課後の預かりを実現するためには、受け皿となる事業者が必要で、継続した事業を行うためには、保護者のニーズの把握、職員の確保ができるかどうかなどの課題がある。県としては、保護者の意向を把握するとともに、サービスの利用決定を行う市町村及び実際にサービスを提供する近隣の事業者と、事業実施の可能性などについて協議していく。
 
〈教育長答弁〉
③ 県内には幼児の療育や集団生活への適応訓練等を行う施設が200か所以上あり、障がいのある幼児の受入れがなされている。県教育委員会としては、現時点では、急増している小・中・高等部の児童生徒に対する適切な教育環境の提供に向けて、県立特別支援学校の整備に注力してまいりたいと考えている。
 
【教育行政について】
1.学校における働き方改革の推進
① 本年3月策定の「教職員の働き方改革取組指針」が掲げる「3年で2割の超過勤務の削減」という目標を確実に達成するため、本県教育委員会は今後どのような取組みを進め、進捗状況を管理するのか。
働き方改革の進捗管理について。
② 1カ月当たり80時間以上の超過勤務の解消について。
③ 小中学校における超過勤務時間の削減について。
④ 各市町村における教職員の働き方改革の取組について、現時点での進捗状況。
⑤ 小中学校における初任者研修の改善について
 
〈教育長答弁〉
① 県立学校における勤務実態を的確に把握するため、現在、ICカードによる勤務時間管理システムの導入作業を進めており、システム導入後は、各学校で勤務時間等の実態に応じ、管理職による適切な業務マネジメントや教職員の業務改善につなげてまいる。また、各学校の実態に応じた指導助言を行い、目標達成に努めてまいる。

② 教職員が、健康で生き生きとやりがいを持って業務に取り組むために、心身に不調をきたすような長時間勤務は改善する必要があると考えている。指針においても、1月当たりの超過勤務時間が80時間を超える者が生じないことを目指しており、できる限り早期に実現できるよう働き方改革の取組みを推進してまいる。

③ 県では、働き方改革全体の指針の中で、超過勤務時間を3年間で20%削減するとの具体的な目標を設定したところである。現在、服務監督権を有する市町村教育委員会に対して、具体的な目標を設定することについても働きかけを行っている。

④ 7月末時点において、指針を策定又は策定予定の市町村が25、タイムカード等により勤務時間の把握を行っている又は行う予定の市町村が38、学校閉庁日を設定又は設定予定の市町村が54となるなど、各市町村においても着実に取組みが進められている。

⑤ 来年度から新たな体系による研修を実施することとしている。特に、初任者研修については、「若年教員研修」として採用後3年間に内容を分散させて実施することや、校外研修の一部を校内での研修に切り替える等の見直しをしている。また、一定の指導力が認められる講師経験者等について校外研修の一部を免除するなど、初任者の負担軽減を図りつつ、学び続ける教員としての基礎を培う研修を効果的・効率的に実施してまいる。
 
(3)一般質問
9月18日
◎原中 誠志 議員(福岡市中央区)
 ① 森林経営管理法施行による新たな森林管理システム並びに国の森林環境税導入にあたっての本県の対応について
 ② 災害対応職員の配置について
◎田辺 一城 議員(古賀市)
 ① 企業誘致を推進するための市町村支援について
 ② 企業と連携し、県民の皆さんの参加を促す健康づくりの推進について
◎渡辺 美穂 議員(太宰府市)
 ① 本県における被爆二世への実態調査及びその支援について
 
9月19日
◎今井 保利 議員(遠賀郡)
 ① 廃プラスチック問題について
◎守谷 正人 議員(福岡市城南区)
 ① 児童虐待防止について
 ② 城南警察署(仮称)の創設について
◎仁戸田 元氣 議員(福岡市西区)
 ① 本県の療育訓練について
 ② 外国人の適正雇用について
 ③ 地方創生のための兼業・副業について

9月20日
◎佐々木 允 議員(田川市)
 ① 障がい者スポーツ振興に向けたパラリンピックのキャンプ地誘致について
 ② 建設労働者の待遇改善に向けた諸施策について
◎堤 かなめ 議員(福岡市博多区)
 ① 地球温暖化対策について
 
【決算特別委員会】(審議期間は9/28~10/10)
〇9月28日:総務部、企画・地域振興部 所管分
① 原中 誠志(:総務部)
 ・地方公共団体金融機構について
② 岩元 一儀(:総務部)
 ・個人県民税の徴収対策について
 ・県内の活断層の状況と防災アセスメント調査について
③ 中村 誠治(:企画・地域振興部)
 ・災害時の安定的な電力の供給について

4.2018(平成30)年『12月県議会』報告

(1)概要
『12月県議会』は、12月3日に開会し、12月20日まで18日間の会期でした。
今議会には、予算案3件、条例7件、契約3件、人事1件など計20件議案の提案がありました。
 
主な提出条例は、「福岡県議会議員の給与に関する条例の一部を改正する条例」、「福岡県職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」「福岡県公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」などです。
 
今回の代表質問に先立ち、2か月前から11回の政策審議を行いました。
代表質問の登壇者は、佐々木允議員で、県政推進の基本姿勢について3項目、企画・地域振興行政について1項目、保健医療介護行政について1項目、福祉労働行政について1項目、環境行政について1項目、県土整備行政について1項目、教育行政について1項目、計9項目にわたり、知事並びに教育長に質しました。
 
一般質問には、わが会派から9人が登壇しました。
12月議会におけるわが会派の代表質問の概要、および一般質問における質疑の項目は以下の通りです。
 
(2)代表質問
12月7日、登壇者は佐々木允議員(田川市選出)でした。
 
【県政推進の基本姿勢について】
1.本県の観光振興と宿泊税の導入
① 宿泊税の導入に関する検討経緯について。
② 観光振興財源検討会議の結果、提出された報告書について、知事はどのように認識しているのか。
③ 「宿泊税と併せて、森林環境税や子ども医療費等への助成を議題として包括的に協議を行おう」という福岡市からの提案及びトップ会談について。
④ 県と市の双方が宿泊税を導入した場合の二重課税について、知事はどのように認識しているのか。
⑤ 福岡市が宿泊税を導入した場合の県の対応と、県宿泊税条例の提案時期について。
 
〈知事答弁〉
① 今年7月に、観光振興財源検討会議を設置し、慎重な議論の結果、観光振興財源として宿泊税の導入が適当であるとの提言が県になされた。この提言を受け、宿泊税に関する制度設計を行っている。

② 県と市町村が一体となった本県観光の更なる振興という観点から、大きな道筋を示していただいた。この報告書を基本に宿泊税に関する制度設計を行っている。

③ 11月に福岡市長と会談を行い、①宿泊税については、速やかに、かつ精力的に、事務方同士で協議を行い、その結果を踏まえて改めてトップ会談を行う。②子ども医療費や森林環境税など、その他の県と市の間の懸案・課題については、関係部局の間で整理していく。この2点を確認した。

④ 県の宿泊税は原則200円とし、その税収の半分を、市町村が主体となって取り組む事業に充てることができる自由度の高い交付金として配分する。しかし仮に、市町村が独自に宿泊税を導入する場合、宿泊者に過重な負担が生じないよう、当該市町村内の税額について、市町村主体事業分に相当する100円を減額するという特例措置を講ずる考えである。

⑤ 福岡市が独自に宿泊税を導入する場合には、福岡市内の税額について、市町村主体事業分に相当する100円を減額するという特例措置を講ずる。宿泊税については、現在、福岡市との実務者同士の協議を行っており、この協議をしっかり積み重ねていく。その上で必要に応じ、トップ会談を行いたい。
 
2.県立3大学の振興
① 地方大学の振興に係る国の報告書が、本県の県立三大学に与える影響と今後の対応について。
② 地方大学・地域産業創生交付金について、県立三大学では検討されたのか。
③ 福岡県立大学に対する支援等について。
 
〈知事答弁〉
① この報告は有用な方向性を示しているものと認識している。県立三大学に対しては、産官学の関係機関との一層の連携、県が抱える行政課題への対応を積極的に求め、地方創生を担う人材の育成を支援してまいる。

② この交付金は、地域における中核的な産業の振興及び当該産業を支える雇用の創出につながる事業計画が求められるため、県立三大学では現時点で計画の立案に至っていない。県としては、国の支援を活用した事業の実施について、各大学と協議してまいる。

③ 福岡県立大学では今年度から6年間の新たな中期計画が始まり、「認定看護師の養成を目的とした看護実践教育」のほか、地域の関係機関と連携した地域貢献活動に取り組んでおり、その実効性を高めていくことができるよう、積極的に支援を行ってまいる。
 
3.女子高生による接客などを売りにする営業形態の規制強化
① 本県におけるJKビジネスの実態について。
② JKビジネスに対する規制について。
 
〈知事答弁〉
② 県警と連携し、県内における営業実態を踏まえるとともに、既にJKビジネスを規制している都府県の条例の内容、効果を参考にしながら、条例による規制の必要性について研究してまいる。
 
〈警察本部長答弁〉
① これまでのところ、女子高生などの児童が接客することを明示ないし連想させる広告・宣伝をし、児童に性的感情を刺激する姿をとらせ撮影させる、あるいは、客と一緒にデートさせるなどの営業形態をとる、いわゆる「JKビジネス」については、店舗型・無店舗型ともに把握していない。

② 引き続き、JKビジネスの実態把握に努め、少年に有害な営業に対しては徹底した取締りを行い、適正な風俗環境の維持に努めるとともに、条例の必要性についても、知事部局とも連携しつつ、既に条例を制定している都府県の状況を把握するなどにより、研究してまいる。
 
【企画・地域振興行政について】
1.民間委託に伴う福岡空港の諸問題
① 今年9月の台風21号による関西国際空港の被災事例を教訓に、このような大規模災害が万一起きた場合、福岡空港の運営会社はどのような対応をするのか。県や自治体との連携はどうするのか。

② 進入経路変更に伴う騒音対策区域の広がりについて、どの程度まで広がると予想しているか。

③ 現在、騒音防止法に基づき設立された独立行政法人空港周辺整備機構及び一般財団法人空港振興・環境整備支援機構の二つの機構が行っている、空港周辺の騒音等の環境対策は、民間委託後どうなるのか。

④ 現在、毎年国が支払っている約80億円の空港敷地内の民有地に対する借地料については、民間委託後どのような財源を使い、どこが支払っていくのか。
 
〈知事答弁〉
① 運営会社は、新たな空港全体の災害対応に係る計画を、来年4月から始まる空港運営までに策定することとしている。また、計画の実効性を確認するため、実際に訓練も行い、その結果を適宜計画に反映していく予定である。県としては、関係自治体との適切な連携対策等について、運営会社と十分に意思疎通を図ってまいる。委託者である国に対しては、運営会社の防災対策が万全なものとなるよう、適切な指導・監督について働きかけてまいる。

② 航空機騒音防止法に基づき設定された現在の騒音対策区域が、南側直線進入方式によってどのようになるのかについて、現時点で予見することは困難である。騒音対策区域は、滑走路増設後に騒音測定を基に見直されることとなっている。

③ 空港周辺整備機構事業は民間委託開始10年後に、空港振興・環境整備支援機構事業は直ちに、運営会社に承継され、その財源である着陸料収入や駐車場事業収入も民間委託後に運営会社が収受することになる。

④ 借地料は責任を持って対応するよう要請している。民間委託後もこれまでどおり、国が所有者と賃貸借契約を締結し、国の予算として、自動車安全特別会計空港整備勘定から借地料を支払うこととなっている。
 
【保健医療介護行政について】
1.がん対策の推進
① 2008年度から2017年度の10年間において、検診受診率はどのように推移してきたのか。
② 本県は2023年度までの達成目標として検診受診率50%以上を掲げているが、具体的にどのようにして目標達成するのか。
③ 働く世代のがん患者の治療と仕事の両立支援について。
④「働く世代をがんから守る検診推進事業所」の登録事業所におけるがん検診受診率について。
⑤ 地域貢献活動評価対象事業における報告の義務付けについて。

〈知事答弁〉
① 平成19年と直近の28年の検診受診率を比較すると、肺がんは17.9%が40.9%、大腸がんは20.9%が36.4%、 胃がんは27.1%が38.2%、乳がんは21.7%が40.9%、子宮頸がんは22.8%が37.9%と、上昇しているが、いずれも目標値の50%を下回っている。

② 居住地の市町村でがん検診と特定健診を同時に受診できる総合健診が、今年度から全ての市町村で実施されることとなった。また、人口は多いが受診率が低い政令市と共同で、働く世代が受診しやすい日時、場所に出向いた検診に取り組んでいる。

③ 今年度から、社会保険労務士をアドバイザーとして事業所に派遣し、治療と仕事の両立支援のための勤務制度等の導入に向けた個別相談を実施している。また、両立支援制度を導入するため、就業規則の見直しを行う事業所に対しては1事業所あたり10万円を上限に助成を行っている。

④ 登録事業所数は11月末で3,442である。平成29年度に報告のあった登録事業所の検診受診率は、肺がん70.4%、大腸がん70.3%、胃がん80.0%、乳がん61.5%、子宮頸がん59.1%となっており、いずれも県の目標値を上回っている。

⑤ 県が推進する施策への積極的な協力を促すため、県が定める要件を満たす企業に対し、入札参加資格審査において加点評価を行っている。現在、地域貢献活動を評価している30項目のうち、24項目は加点評価に際し、正規雇用の増加数や防災協定の締結といった実績を確認している。残りの6項目についても取組実績を確認してまいる。
 
【環境行政について】
1.建設アスベスト対策の強化
① アスベスト被害救済の状況と制度の周知について。
② 新たなアスベスト被害者を生まないために、建築物の解体にあたって、工事事業者に対してどのような指導を行っているのか。
③ アスベスト被害の早期救済について。
 
〈知事答弁〉
① 県内の救済給付申請件数は、制度発足の平成18年度から29年度までの間に768件であり、給付決定件数は446件である。また、同じ期間に申請のあったアスベスト被害の労災保険と特別遺族給付金の請求件数は、それぞれ551件と72件で、給付決定件数は、それぞれ505件及び43件である。県ではホームページでの情報提供やポスター、パンフレットの配布など、周知を図っている。

② 解体工事時の事前調査やアスベスト飛散防止対策に関する届出の義務について文書で周知するとともに、労働基準監督署と連携し、届出が確実に行われるよう指導している。また、届出のあった全ての解体工事を対象に立入検査を実施し、アスベストの飛散防止対策が確実に行われているか確認するとともに必要な指導を行っている。

③ 救済制度が安定的かつ着実に運営されることが、ひとりでも多くのアスベスト被害者を迅速に救済することにつながるものと考えている。制度の周知や石綿健康被害救済基金への拠出を実施するとともに、国に対し、救済制度をはじめ、アスベスト対策の充実・強化を求めている。
 
【福祉労働行政について】
1.労働者の待遇改善と最低賃金引き上げ
① 入札参加資格審査の地域貢献活動評価項目の検討状況について。
② 最低賃金の水準について。
③ 最低賃金の新たな目標の設定について。
 
〈知事答弁〉
① 企業における、労働者の賃金向上や働き方改革を通じた労働環境改善の取組みを、地域貢献活動における加点評価の対象とすることについて、労使双方の意見を聴く場を設けた。その結果、1)働き方改革に資する項目を加点評価の対象とすることに異論はない、2)賃金は本来労使間で自主的に決定されるべきもの、3)制度の対象は入札に参加する元請企業であるため、賃金に係る項目を加点評価の対象とすると、元請企業の賃金のみが上昇し、下請、孫請へのしわ寄せが懸念されることから慎重に検討すべき、との御意見をいただいた。現在、どのような項目を加点評価の対象とするか、検討している。

② 本県は全国で唯一、国に対して最低賃金の引き上げの提言を継続して行ってきた。この結果、本県の最低賃金は814円となり、これまで目標としていた県内の生活保護の水準である800円を超えることができた。これは大きな前進であると考えている。一方で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇には依然として差があり、同一労働同一賃金の実現と着実な最低賃金引上げの継続が必要との旨を、国に対して要望している。

③ 今年8月に全国知事会から国に対し、「地域間格差につながっているランク制度を廃止し、全国一律の最低賃金制度を実現すること。最低賃金の引上げによって影響を受ける中小・小規模事業者への支援を強化すること」を提言したところである。
 
【県土整備行政について】
1.田川地域のインフラ整備
① 国道201号と国道322号バイパスを結ぶ彦山川沿いの現在の県道の課題について。
② 主要地方道田川直方線バイパスの延伸事業による効果と今後の取組みについて。
 
〈知事答弁〉
① 現在供用中の田川直方線バイパスから国道201号を通り、国道322号バイパスを経由して大任町、添田町へ向かうためには、彦山川沿いを通る、県道の田川直方線、今任原伊田線、八女香春線を利用する必要がある。しかしながら、この区間には、JR日田彦山線との立体交差部で、冠水の危険、高さ規制、道路の幅が狭いといった通行支障箇所があり、また、国道201号との交差点である「東大橋交差点」では、交通渋滞も発生していると認識している。

② バイパス延伸事業により、筑豊地域の南北交通軸の強化が図られるとともに、「東大橋交差点」の渋滞緩和が期待できる。また、冠水の危険や幅員狭小などの通行支障箇所を回避できることで、災害時における救援物資等の輸送にも資する道路となる。さらに、延伸区間の周辺には、観光・産業振興の拠点となる「道の駅「おおとう桜街道」」や、「桑原工業団地」などがあり、これらへのアクセス向上も期待できる。今後、その早期完成に向けて、用地買収や工事を着実に進める。
 
【教育行政について】
1.県立高校における課外授業のあり方
① 課外授業の現状と指導の取組みについて。
② 課外授業の受講方法について。
③ 課外授業の会計について。
 
〈知事答弁〉
① 今年度の課外授業については、その実施手続きと内容、教員の従事及び会計に関し、全ての学校で確実に実施されていることを県教育委員会として確認している。その結果、課外授業を実施している普通科高校63校のうち、参加率100%の学校数は、昨年度の50校から、本年度は1校のみとなっている。また、課外授業の適正な実施を徹底するため、状況把握に努めるとともに、参加を強制されたと受け取られかねない不適切な指導や、参加していない生徒が定期考査等で不利となる取扱いなどをしないよう、校長会等で具体的な指導を行っている。

② 現在、1年次から教科ごとに選択できる学校は8校にとどまっているが、2年次からは進学や就職の進路希望に応じ、受講する教科を選択できる学校が増加し、3年次では半数以上の学校が選択制となっている。また、参加希望の確認時期について、学期ごとに行っている学校は半数程度であるが、通年で申込みを行う学校であっても、希望により中途で受講内容の変更を認めるなど、柔軟な対応がなされている。

③ 平成28年度末時点で、一部の高校において会計報告の不備や余剰金の取扱いなど、適切ではないと思われる事例があった。それらの学校に対しては個別に調査を行い、改善が必要な点について指導しており、平成29年度からは課外授業を実施している全ての県立高校で適正に会計処理されている。また、累積している余剰金は、各学校の課外授業の主催者であるPTAにおいて、課外授業に係る物品の購入や進路指導費・生徒会費等へ繰り入れるなど、役員会・総会等で説明し、承認を得た上で生徒の教育活動に還元されるような取扱いがされている。今後も保護者負担軽減の観点から、引き続き会計処理が適正に行われるよう、各学校に指導するとともに、校長協会や事務長会に対しても協力を要請してまいる。
 
(3)一般質問
 12月11日
  ◎原中 誠志 議員(福岡市中央区)
  ①人口減少社会における都市のスポンジ化対策について
   ②水道法の一部改正に伴う本県の対応について
  ◎今井 保利 議員(遠賀郡)
   ①老人クラブの現状について
   ②地域交通の現状について
  ◎堤 かなめ 議員(福岡市博多区)
   ①養育費の受給率向上について
 12月12日
  ◎野田 稔子 議員(八女郡)
   ①本県における平成の市町村合併の検証について
   ②八女・筑後保健医療圏における公立八女総合病院の役割について
  ◎中村 誠治 議員(久留米市)
   ①ふるさと納税を活用した地域振興について
  ◎岩元 一儀 議員(北九州市八幡西区)
   ①県内の観光振興の取り組みについて
 12月13日
  ◎井上 博隆 議員(大野城市)
   ①高齢者の貧困と孤立死対策について
  ◎渡辺 美穂 議員(太宰府市)
   ①障がい者六十五歳問題について
  ◎川﨑 俊丸 議員(糸島市)
   ①玄海原発にかかる九州電力との協定の見直しについて
   ②福岡県におけるフリースクールの実態と今後の支援について
 
(4)意見書
わが会派が提出した「学校における働き方改革の実現を強く求める意見書」およびわが会派が共同提案した意見書3本、計4本が採択されました。
 
12月20日の最終日は、20件の議案と意見書の採択が行われ、議案については、執行部提案議案は、全て賛成多数で可決されました。

5.2019(令和元)年『2月県議会』報告

(1)概要
今任期で最後となる2019(平成31)年2月福岡県議会定例会は、2月6日に開会し、2月21日まで16日間の会期で審議が行われました。
 
今回の代表質問に先立ち、2か月前から9回の政策審議を行いました。
代表質問の登壇者は、小池邦弘議員で、県政推進の基本姿勢について5項目、福祉・労働行政について1項目、教育行政について2項目、計8項目にわたり、知事並びに教育長に質しました。
一般質問には、わが会派から6人が登壇しました。
 
2月21日の最終日には、「福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例の全部を改正する条例の制定について」など条例議案、平成31年度一般会計(暫定)予算、平成30年度一般会計補正予算など計66議案と1つの諮問案が可決されました。
また、わが会派が提出した「『顧客からのハラスメント』の抜本的な対策を求める意見書」およびわが会派が共同提案した意見書3本、計4本が採択されました。
 
さらに、議員提案条例「福岡県における性暴力を根絶し、性被害等から県民等を守るための条例」が可決されました。この条例は、全国で法令および条例としては初めて「性暴力」を定義するとともに、性暴力の根絶に向けた教育、研修、広報・啓発の推進、性暴力被害者の支援の充実等を定め、更には、大阪府に次いで全国2番目となる、子どもに対する性犯罪の受刑者が県内に住所を定めた場合に、氏名、住所等の届出を義務付け、本人の申し出により再犯防止の指導プログラムを受けることを支援するなど、加害者の再犯防止対策を定めたものです。
 
2月議会におけるわが会派の代表質問の概要、および一般質問の項目は以下の通りです。
 
(2)代表質問
 12月7日、登壇者は小池邦弘議員(糟屋郡)でした。
 
【県政推進の基本姿勢について】
1.本県の均衡ある発展と筑豊地区の振興
① 県内の地域間格差に対する認識及びその軽減に向けた取組みについて
② 筑豊地区に対する現状認識及び浮揚、発展のために講ずる政策について
 
〈知事答弁〉
① 県内において、福岡都市圏以外の地域は、人口が減少し、少子高齢化が進むなど、厳しい 状況にある。このため、基幹的な交通網の整備をはじめ、自動車や食品、物流関連企業などの誘致、地域資源を活用した観光振興、ブランド化や6次化による農林水産業の振興、地域を支える人材の育成などに取り組み、成果を上げてきた。県全体の均衡ある発展に向けて、さらに取組みを進めていきたい。

② 現在、筑豊地域では、自動車関連企業などの立地が進むとともに、雇用状況も大きく改善されているところである。一方で、人口減少が進み、他地域と比べて高齢化率や生活保護率が高く、大学進学率や市町村民所得は低いなど、様々な課題があると認識している。まずは、自動車関連企業などの誘致に加え、医療福祉機器分野への参入促進、地域の中小企業に対する総合的な支援を進めてまいる。また、教育を充実させ、地域の次代を担う人材育成を目的として、小中学生の学力向上に向けた取組みを重点的に進めてまいる。
 
2.私立学校における働き方改革の推進
① 私立学校に対する県の指導・監督権限について
② 教職員の勤務実態に関する国の調査結果に対する認識と、県内私立学校の実態把握について
③ 県内私立高校における労働基準法の遵守の状況について
 
〈知事答弁〉
① 県は、私立学校を設置する学校法人に対し、私立学校法の規定に基づき、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めたり、私立学校法や寄附行為等に違反する場合には措置命令や解散命令等の権限を有している。また、私立学校振興助成法に基づき、私立学校の運営費に対する補助を実施しており、補助金が適正に執行されるよう、指導・監督する立場にあると認識している。

② 国が実施した全国の調査結果では、退勤時間を客観的に確認できていない私立学校が多く、休憩時間を取れていない教職員や休日勤務が多いことから、私立学校においても働き方改革に取り組む必要があると考えている。県としては、私立学校の教職員の勤務実態についての調査を行っていないが、昨年2月、私立学校に対し、学校における働き方改革に適切に取り組むよう通知したところである。今後、私立学校に対し、公立学校の優良事例を紹介するなど、各学校の取組みに対する必要な支援を行ってまいる。

③ 労働基準法の違法行為について、その監督権限が国にあることから、実態調査やその指導・是正勧告等は労働基準監督署において行われるべきものであると考えている。県において、私立高校60校の「働き方改革」について調査したところ、全ての学校で就業規則を作成の上、労働基準監督署へ届け出がなされている。また、労働契約締結の際、書面を交付している学校は56校、時間外勤務・休日出勤ともに三六協定を締結している学校は、教員については21校、事務職員については37校となっている。なお、労働契約締結の際、書面を交付していなかった4校については、いずれも速やかに是正すると聞いている。県としては、各学校に対し、法令を遵守するよう指導してまいる。
 
3.公務員の労働安全衛生体制の充実
① 労働安全衛生に関する行政の役割と県の対応について
② 県職員の労働安全衛生体制(衛生委員会等及び産業医の活動実態)について
③ 市町村職員の労働安全衛生体制(衛生委員会等及び産業医の活動実態)について
④ 公立小・中学校の衛生委員会について
⑤ 公立小・中学校の労働安全衛生体制に係る今後の取組みついて
 
〈知事答弁〉
① 民間事業者の労働安全衛生については、国が立入検査や指導・監督の権限を有しており、各地域の労働基準監督署において、事業所への立入検査や、適正な産業医の選任などに関する指導、違反事業所に対する監督などが行われている。県においては、事業所に対する指導・監督などの権限はないが、団体が実施する労働災害防止や労務管理改善に関する広報活動への助成、使用者団体や市町村などの関係機関に対する労働安全衛生に関する情報提供等を行っている。

② 県では、衛生委員会を本庁と各出先機関に設置している。衛生委員会では、労使双方から選出された委員が、各職場の実態に応じた活動を行っている。各職場では、衛生委員会の意見を踏まえて、職員の安全と健康の確保に取り組んでいる。産業医については、法定の50人以上の職場だけでなく50人未満の職場にも配置し、衛生委員会における助言・指導や職場環境の巡視を行っている。

③ 昨年度、多くの市町村において、厚生労働省令で求められている月1回以上の衛生委員会の開催が行われておらず、また、12市町村において、長時間労働に係る産業医の面接指導が行われていない実態がある。県としては、市町村に対して、衛生委員会の定期開催や産業医による面接指導の実施など、法令に基づく取組みを適切に行い、労働安全衛生体制の改善を進めて行くよう、助言してまいる。
 
【教育長答弁】
④ 平成29年度の調査によると、県内の公立小中学校のうち衛生委員会が設置されていないのは374校、その職員数は8647人であり、全体に占める割合は、それぞれ35%と32%となっている。また、衛生委員会の設置や産業医の選任を要する小中学校33校のうち、衛生委員会が設置されているのは19校、産業医が選任されているのは22校となっている。教職員が教育活動に専念できる職場環境を確保し、学校教育の質の向上を図るためには、労働安全衛生体制の確保が重要であり、学校の設置者は法令上の義務の遵守を徹底すべきと考えている。

⑤ 学校の設置者である市町村に対して、衛生委員会の設置や産業医、衛生推進者の配置など、法令に基づく体制整備を図るよう指導してまいる。
 
4.入管法の改定に伴う本県の対応
① 本県における「特定技能」外国人の受入数について
② 「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」及び政府の姿勢について
③ 新たな在留資格「特定技能」の創設を踏まえた本県の対応について
 
〈知事答弁〉
① 平成29年10月末現在の全国の外国人労働者に占める本県の割合を基に、今後5年間の受入数を約1万人と見込み、報告したところである。なお、地域毎の賃金水準などの諸要件を考慮したものではない。県としては、賃金水準のみならず、魅力的な就労先として、外国人に県内企業を選んでもらえるよう、外国人にとって魅力ある職場環境づくりを支援してまいる。

② 県では、国の支援が地方の実態に即したものになるよう、地方の取組みに対しては国が責任を持って財政支援を行うことや、地方自治体だけでなく地域の国際交流センターでの取組みについても支援の対象とすることなど、関係省庁に対し速やかに要望を行ったところである。法の施行が4月に迫る中、引き続き、支援の具体的内容や、国としての財政措置等を早急に明らかにするよう国に強く求めてまいる考えである。

③ 県では、国が外国人材の受入れを進める14業種の業界団体や事業者へのヒアリング調査等を行った結果、14業種全てにおいて、日本人の雇用に向けた努力をしてもなお人手不足の状況にあり、事業の維持・拡大のため外国人材を一定程度受け入れることを希望するという声が聞かれた。また、各業種に共通した課題として、外国人材受入れの制度が複雑であること、外国人材の日本語能力に不安があること、住宅の確保など生活支援への負担感が大きく、中小企業が単独で行うことは難しいこと、などが挙げられている。こうした結果を受け、外国人材の受け入れを希望する企業や県内市町村等を対象とした説明会を、国と協力して今年度中に実施する。

5.航空機の事故及び騒音対策
① 自衛隊機や米軍機の事故対策について
② 航空機騒音の測定状況について
③ 航空機騒音の測定結果を踏まえた県の対応について
 
〈知事答弁〉
① 県内に影響を及ぼすおそれのある自衛隊機の事故が発生した場合は、自衛隊から、県及び関係市町村に対して事故情報が連絡されている。また、県内で米軍機の事故が発生した場合は、九州防衛局から、県及び関係市町村へ連絡されることとなっている。自衛隊機や米軍機の事故情報の伝達については、現実に支障は生じていないが、初動における情報連絡体制などをより明確にする必要があると考えている。このため、地域防災計画への位置付けの可否を含めて、九州防衛局や自衛隊と協議を行ってまいる。

② 福岡空港では県が2地点、築城飛行場では県が1地点、芦屋飛行場では県及び北九州市がそれぞれ1地点において、年間を通じて騒音を測定している。併せて、この常時測定を補う観点から、関係市町と協議しながら年に1~2週間程度の短期測定を行う地点を選定し、福岡空港では県、福岡市及び春日市が計17地点で、築城飛行場では県が8地点で、芦屋飛行場では県及び北九州市が計12地点で、それぞれ測定している。直近の平成29年度の測定結果によると、福岡空港では常時測定1地点、短期測定5地点で環境基準の超過が確認されている。また、築城飛行場では短期測定2地点で基準を超過している。なお、芦屋飛行場では、29年度には基準を超過した地点はなかったが、27年度には常時測定1地点で基準超過しているところである。

③ 福岡空港及び芦屋・築城両航空自衛隊基地の周辺地域の一部で、環境基準の超過が確認されていることから、国において基準の達成に向けた取組みが進められる必要があると考えている。このため県では、福岡空港を管轄する国土交通省大阪航空局及び航空自衛隊基地を管轄する防衛省九州防衛局に対して、毎年度、測定結果を通知するとともに、一層の騒音対策を求めているところである。今後とも、関係市町と協力しながら、航空機騒音の測定を実施し、その結果に基づいて、国に対して騒音対策を要請してまいる。
 
【福祉労働行政について】
1.幼児教育・保育の無償化と保育行政の諸問題
① 保育士の処遇改善に係る知事の認識について
② 本県が現在行っている保育士の確保や離職防止の取組みについて
③ 保育士に対する経済的支援制度の取組みに係る知事の考えについて
④ 県内の企業主導型保育所の定員充足率について
⑤ 企業主導型保育所に対する指導・監査結果について
⑥ 本県における待機児童の現状と需要予測について
⑦ 保育所に対する減価償却費加算と賃借料加算について
 
〈知事答弁〉
① これまでの取組みにより、保育士と他業種との賃金格差は縮小してきているものの、依然としてその差は大きいと認識している。また、昨年度、県が実施した「保育士再就職意向調査」によれば、再就職に当たって重視する項目として、賃金など処遇に関するものが最も高い結果となっている。賃金の改善について、引き続き国に対し要望してまいる。

② 新規保育士の確保としては、保育士養成校の生徒を対象に、5年間就業すれば全額免除される保育士修学資金貸付を実施しており、当制度の活用について養成校や高校に働きかけている。また、保育士の離職防止としては、新任保育士を対象とした離職防止セミナーや管理者を対象とした研修会の開催、職場環境改善に関する無料コンサルティングを実施している。併せて、保育士の負担軽減を図るために、保育補助者の雇上げに必要な経費の助成を行っている。さらに、潜在保育士の現場復帰を促進する取組みとして、未就学児を持つ保育士に対する保育料や再就職の準備に必要な就職準備金の貸付などを行っている。これらに加え、保育士の求職・求人登録機能や求人情報の検索・配信機能を持つ「ほいく福岡」を開設したところであり、今後、このサイトを活用して保育士の確保に取り組んでまいる。

③ 家賃負担軽減の仕組みや保育士の修学資金貸付の制度については、それぞれ国の制度が存在しているが、国の補助制度は市町村にとって必ずしも使いやすい制度とはなっていない。県としては、市町村に対し国の制度の活用を働きかけていくとともに、より使いやすい補助制度となるよう、国に対し制度改善を要望してまいる。

④ 昨年度末時点で県内に所在した111施設について確認した結果、平成30年4月の利用状況は、定員が2,523人、利用人数1,274人で、充足率は50%となっている。

⑤ 県では、認可外保育施設である企業主導型保育所での保育についても年1回の指導監査を実施している。しかしながら、企業主導型保育所は、内閣府が所管する公益財団法人児童育成協会が整備費及び運営費の助成を行っており、設備・運営の基準も認可外保育施設の基準を上回っている。そのため、設置後の各施設の基準の適合状況など助成を受ける施設としての指導・監査は、協会が実施しているところである。

⑥ 待機児童を解消するためには、市町村において、まずは無償化の影響も踏まえた保育需要をしっかりと見込むことが重要である。県としても、需要見込みにおいて参考とする指標や活用すべきデータ、見込む際の留意点などについて情報共有を行ってまいる。この需要見込みを踏まえて各市町村が必要とする施設整備を支援するとともに、待機児童解消のために必要な支援策について市町村と協議してまいる。

⑦ 国に対して、平成30年7月と11月の2回にわたり、減価償却費加算の廃止と賃借料加算の実態に即した見直しを求めてきた。この見直しについては現在、国も問題意識を持って、関係部局で議論されていると聞いている。県としては引き続き、見直しについて国に要請を続けてまいる。
 
【教育行政について】
1.部活動のあり方
① 昨年12月に県教育委員会が策定した「福岡県運動部活動の在り方に関する指針」への取組みと学校法人に対する支援について
② 県指針の実効性確保のための取組みと市町村教育委員会への支援について
③ 県立学校への指導及び調査状況等について
④ 私立学校における「運動部活動の方針」の運用状況等の調査について
⑤ 学校法人による「文化部活動の方針」策定に対する支援について
⑥ 文化部活動の在り方に関する方針の策定について
⑦ 方針策定に係る市町村教育委員会への支援について
⑧ 教員の部活動顧問の現状及び部活動指導員の配置について
⑨ 部活動指導員の確保について
 
〈知事答弁〉
① 昨年12月に、私立中・高等学校等を設置する学校法人及び学校長に対し、その「運動部活動の方針」を策定し、公表する等、適切に対応するよう周知したところである。今後とも、これらの取組みが適切に行われるよう働きかけるとともに、先行事例を紹介する等、助言してまいる。

④ 昨年10月に行った調査では、本県における「運動部活動の方針」を策定済み及び年度内に策定予定の法人は3割程度であった。昨年12月、県指針の策定を学校法人等へ通知し、「運動部活動の方針」の策定等について適切に対応するよう周知したところであり、まずは、これらの取組みが適切に行われるよう、働きかけてまいる。その上で、休養日や活動時間の設定状況、部活動指導員の任用や研修の実施状況等について、来年度早い時期に調査を実施し、取組みが遅れている学校に対しては対応を促してまいる。

⑤ 本年1月に、私立小・中・高等学校等を設置する学校法人及び学校長に対し、昨年12月に文化庁が策定した「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に則り、適切に対応するよう通知したところであり、今後、周知を図るとともに、県立学校の取組みを紹介する等、助言してまいる。
 
〈教育長答弁〉
② 県立学校については、各学校の運動部活動の運営方針を作成し、来年度からの実施に向け準備すること、また、来年度末に県の指針の運用状況調査を実施することを校長会において周知している。適宜、指導及び是正に努めてまいる。市町村教育委員会は、県の指針を参考に各市町村の運営方針を作成することとなっていることから、県の指針を示しつつ、市町村教育長会及び中学校長会において働きかけているところである。今後とも、円滑な策定に向けて指導助言を行ってまいる。

③ 昨年6月以降、国のガイドラインに基づいた運動部活動の運営を指導してまいった。また、その内容について、各学校では、職員会議や顧問会議等で共有するとともに、地域や保護者に対し、休養日の設定等について周知している。今年度末に部活動指導員の活用状況、年間を通じた休養日や活動時間の設定状況、教員の負担軽減に向けた取組内容等について調査を実施し、その結果を元に、来年度以降、研修会等を通じた全般的な指導や課題に応じた個別指導に努めてまいる。

⑥ 現在、文化部活動の頻度や活動時間については、年間を通じて練習が長時間に及ぶものもあれば、特定の時期に集中するもの、休日を中心に活動するものなど、極めて多様である。文化部活動の適切な実施のためには、その特性を踏まえ、生徒や教職員の心身の負担等を考慮した休養日や活動時間の基準等を設定する必要がある。このため、各学校や芸術文化関係団体等の意見を十分に取り入れながら、方針の策定に当たりたいと考えている。

⑦ 市町村教育委員会に対しては、県における方針策定に当たっての検討事項や、県立学校及び関係団体等の意見等を情報提供することで、円滑な策定を支援してまいる。

⑧ 平成26年度の日本体育協会の調査報告書によると、担当している運動部活動で過去に競技経験がないと回答した顧問の割合は、中学校が52.1%、高等学校が44.9%となっている。また、昨年度のスポーツ庁の調査報告書によると、「校務と部活動の両立に限界を感じる」と回答した顧問の割合は、公立中学校が47.9%、公立高等学校が43.6%となっている。県教育委員会では、今年度から、部活動指導員を県立学校87校において任用するとともに、申請のあった市町村立中学校18校に、国の補助事業を活用し支援を行っている。

⑨ 部活動指導員の任用は、単独での指導や大会引率ができることから教員の負担軽減につながるものと認識している。しかしながら、部活動指導員の人材確保が困難であるとの声も聞かれることから、今後、県体育協会や競技団体と連携を図り、部活動指導員の確保と育成に努め、教員の負担軽減を図ってまいる。
 
【制服選択制の導入推進】
① 県立高校における制服の選択について
② 公立小・中学校における制服選択制の導入と各市町村の取り組み状況について
 
〈教育長答弁〉
① 来年度、女子生徒の制服としてスカートに加えスラックスが選択できる学校は、20校となる見込みである。さらに、複数の学校が、次年度以降の実施に向けて、デザイン等を検討しているなど、各学校において、機能性や防犯対策等に配慮した制服着用の弾力化が進められている。

② 市町村に対しては、県立学校において制服着用の弾力化を図る検討を進めている状況について情報提供を行っている。現在、政令市を含め複数の市町村において制服着用の弾力化にかかる検討が行われており、そのうち5市町村の学校において、本年4月から導入される予定である。引き続き、県立学校や市町村の取組み状況について周知を図ってまいる。
 
(3)一般質問
2月14日
 ◎原中 誠志 議員(福岡市中央区)
  ①漁業法改正に伴う本県漁業の対応について
  ②NHK大河ドラマを活用した本県のスポーツ並びに観光振興について
 ◎今井 保利 議員(遠賀郡)
  ①雇用の拡大について
 ◎渡辺 美穂 議員(太宰府市)
  ①民泊の課題について
2月15日
 ◎佐々木 允 議員(田川市)
  ①本県汚水処理の推進について
 ◎岩元 一儀 議員(北九州市八幡西区)
  ①防犯施策の充実について
 ◎大田 京子 議員(福岡市南区)
  ①障がい者グループホームの充実について