2022年「6月県議会」~2023年「2月県議会」
Ⅰ.今期の議会報告
今期(2019年5月~2023年4月)最後となる福岡県議会報告です。
今回の県議会活動報告は、2022年『6月県議会』、2022年『9月県議会』、2022年『12月県議会』、2023年『2月県議会』です。
Ⅱ.県議会報告
《2022年『6月県議会』報告》
1.議会概要
2022年(令和4年)2月議会定例会は、6月3日から6月21日までの19日間の会期で開催されました。
開会日に、補正予算議案2件、条例議案9件、専決処分議案2件、契約議案14件、人事案件議案1件の計28議案が提案されました。補正予算議案のうち1件は原油価格・物価高騰と新型コロナウイルス感染症への対応するための早期議決予算で、開会日に常任委員会の審議を経て本会議で議決されました。主な条例議案は、福岡県税条例の一部を改正する条例、福岡県中小企業融資制度に係る中小企業者等の事業の再生のための措置に関する条例、福岡県建築基準法施行条例の一部を改正する条例などです。
いずれの議案も委員会審議を経て最終日に本会議で議決されました。また、議員提案の「福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例」も同日議決されました。
2.代表質問
6月9日に行われた民主県政クラブ県議団の代表質問の登壇者は後藤香織議員(福岡市早良区選出)でした。
新型コロナウイルス感染症、火災による高齢者リスクと対応、ジェンダーギャップ、交通ネットワークの維持、高齢者福祉における低所得者支援、花き農業振興、出水期への備えとボランティア養成、外国人の子どもへの教育支援、早良高校と早良特別委支援学校(仮称)に関して、知事、教育長に質問を行いました。
(1)代表質問の内容
- ①県政推進の基本姿勢について
- ・新型コロナウイルス感染症について
- ・火災による高齢者リスクと対応について
- ・福岡県のジェンダーギャップについて
- ②コロナ禍で疲弊した交通ネットワークの維持について
- ③高齢者福祉における低所得者への支援について
- ④本県施設園芸、とりわけ花き農業の振興について
- ⑤出水期への備えについて
- ⑥災害ボランティアの養成について
- ⑦外国人児童生徒への教育支援について
- ⑧早良高校と早良特別支援学校(仮称)について
(2)代表質問の概要
知事から、新型コロナウイルス感染症の後遺症について、相談窓口開設の2月から5月 までに2,429件の相談があり、そのうち1,269件を医療機関へ紹介したこと、コロナ禍や物価上昇により県制度融資の返済に影響を受けている中小企業について、据置期間、返済期間をそれぞれ1年延長することとし、4月、5月の2か月間で509件の条件変更を行ったことが示されました。県全体でジェンダーギャップの解消を進めるため、県内各市町村に様々な指数や課題への取組事例を提示していくこと、また地域公共交通の利便性向上、利用促進のため今年3月に策定した交通ビジョンの下、更なる取組を行うとされました。
低所得の高齢者の介護保険施設利用の負担軽減のため利用者負担軽減制度の利用促進に取り組んでいくこと、燃油・肥料高騰に苦しむ花き農家への助成制度を導入したこと、併せて花き栽培の石油依存を減らすための技術導入の研究を行うことが表明されました。県内の盛土について危険な情報があれば対応していくこと、避難時に援護が必要な方を支援する個別避難計画の実効性の確保を目指すこと、効果的な災害ボランティア登録制度の研究をしていることが示されました。
教育長から、日本語指導が必要な外国人の子どもの就学機会の確保、効果的な日本語指導の充実に取り組むことが示され、また隣接する早良高校と早良特別支援学校(仮称)の教育の質が高まるような連携を目指していくとの回答を得ました。
3.一般質問(登壇者8名)
- ①原竹岩海(筑紫野市)
- 一、国の持続化給付金と県の持続化緊急支援金制度の請求と支払い、その後の確認状況について
- 一、農業競争力強化法第8条第4号に基づく本県の種苗に係る知的財産の取扱いについて
- ②渡辺美穂(太宰府市)
- 一、保育士の労働環境の改善について
- 一、ヤングケアラーについて
- ③山本耕一(北九州市若松区)
- 一、防災情報の活用と周知について
- ④佐々木允議員(田川市)
- 一、本県における移住定住・関係人口に対する対策の促進について
- 一、県立高校の課外授業について
- 一、県立学校の長時間労働是正について
- ⑤中嶋玲子(朝倉市・朝倉郡)
- 一、災害復旧工事における農地の再生と利用について
- 一、食料の供給と県産農産物による自給について
- ⑥中村香月議員(久留米市)
- 一、輸出産業の人材育成について
- 一、県下の盛土問題について
- ⑦冨永芳行議員(糟屋郡)
- 一、福岡県のDX戦略について
4.意見書
- ①地方財政の充実・強化を求める意見書(民主県政県議団)
- ②私学助成の拡充に関する意見書
- ③学校施設のZEB化のさらなる推進を求める意見書
- ④食料安全保障の強化を求める意見書
- ⑤緊急事態に対応できる法令等の整備を促進する取組を求める意見書
《2022年『9月県議会』報告》
1.議会概要
2022年(令和4年)9月議会定例会は、9月9日から10月14日までの36日間の会期で開催されました。
開会日に、補正予算議案2件、条例議案5件、契約議案12件、経費負担議案6件の計25議案が提案されました。補正予算議案は「コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策」、「新型コロナ感染症対策」などに必要な経費が計上されました。
また、9月16日に決算議案20件、更に9月29日に光熱水費等の高騰に対応をするための補正予算1件が追加提案されました。
主な条例議案は、福岡県職員の育児休業に関する条例の一部を改正する条例、福岡県民 生委員の定数を定める条例の一部を改正する条例などです。
いずれの議案も各常任委員会、決算特別委員会の審議を経て本会議で議決されました。
また、議員提案条例として提案された「福岡県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙 区において選挙すべき議員の数に関する条例」の一部を改正する条例案も本会議で議決されました。
2.代表質問
9月15日に行われた民主県政クラブ県議団の代表質問の登壇者は新井富美子議員(久留米市選出)でした。
新型コロナウイルス感染症対策、手話言語教育と手話通訳者育成、変革期を迎える自動 車関連産業への対応、鳥類の被害対策、学校現場での性の多様性への配慮、教員の定数未配置と教員採用のあり方、久留米市内の浸水対策と河川管理に関して、知事、教育長に質問を行いました。
(1)代表質問の内容
- ①県政推進の基本姿勢について
- ・新型コロナウイルス感染症対策について
- ・最低賃金改定に伴う本県の対応について
- ・育児休業制度の充実について
- ②手話教育と手話通訳者の育成について
- ③変革期を迎える自動車関連産業への対応について
- ④鳥獣被害、とりわけ鳥類の被害対策について
- ⑤学校現場における性の多様性への配慮について
- ⑥教員の定数未配置と教員採用のあり方について
- ⑦久留米市内の浸水対策と河川管理について
(2)代表質問の概要
知事から、新型コロナウイルス感染の全数届出の見直しが開始された後、感染された方々へ新設する「健康フォローアップセンター」を案内し、健康面と生活面の支援を行うと発言されました。最低賃金については早期に1,000円の達成を目指して国に求めていくこと、男性の育児休暇取得促進のため、フォーラムやセミナーを通じて積極的に発信すると表明されました。また、手話言語に関して、少人数研修を通じて手話通訳者の育成を行うと回答を得ました。
変革期を迎えた自動車産業に対応するため、中小企業の脱炭素促進、電動化部品製造へ の参入支援や水素・風力産業への参入支援を行うこと、更に水素ステーションの整備促進に努めるとされました。農林水産物の有害鳥類対策を強化するため、市町村への特別交付税措置の周知、狩猟者への指導強化を進めることとされ、また、久留米市内の浸水対策について、計画的な対策に取り組むこと、その情報発信も強化すること、県の河川維持管理予算の確保にも取り組むとの発言を得ました。
教育長から、教育現場で手話技術を持つ教員の育成支援を行うこと、制服・水着の選択制は県立学校の殆どで実施されており今後も不断の見直しを行うとの発言がありました。また、教員の未配置の解消のため精度の高い推計に基づく採用を行ったが、志願者の減少、合格者の辞退によって目標を達成できず、今後大学や企業との連携を深め、質の高い教員の確保を進めるとされました。
3.一般質問(登壇者8名)
- ①佐々木允(田川市)
- 一、浄化槽の適正管理について
- ②山本耕一(北九州市若松区)
- 一、生活困窮者等の実態把握と自立支援について
- ③冨永芳行(糟屋郡)
- 一、循環型社会の推進、とりわけ、使用済紙おむつのリサイクル推進について
- ④後藤香織(福岡市早良区)
- 一、女性の健康について
- 一、森林の無断伐採対策について
- ⑤中嶋玲子(朝倉市・郡)
- 一、「こども基本法」と「こども家庭庁」に対する本県の対応について
- ⑥原中誠志(福岡市中央区)
- 一、青少年犯罪の抑止に向けて児童虐待防止対策について
- 一、いわゆる霊感商法に係る県消費生活相談体制の強化について
- ⑦渡辺美穂(太宰府市)
- 一、コロナ禍における採用試験のあり方について
4.意見書
- ①教職員定数の改善及び義務教育費国庫負担制度の充実を求める意見書(民主県政県議団)
- ②国民の祝日「海の日」の7月20日への固定化を求める意見書
- ③「緊急時の薬事承認」の在り方等について検討を求める意見書
- ④プラスチックに係る資源循環等の総合的な推進を求める意見書
《2022年『12月県議会』報告》
1.議会概要
2022年(令和4年)12月定例会は、12月1日から12月20月までの20日間の会期で開かれました。開会日に補正予算議案2件、条例議案12件、契約議案10件、その他の議案5件、計29議案が提案され、12月13日には国の補正予算成立に伴う補正予算議案2件が追加提案されました。
主な条例は、「福岡県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」、「福岡県職員の定年等に関する条例等の一部を改正する等の条例」、「福岡県営住宅条例の一部を改正する条例」などです。
定例会最終日には議員提案条例「福岡県議会の保有する個人情報の保護に関する条例」が提案されました。いずれの議案も審議を経て、閉会日の12月20日に本会議で議決されました。
2.代表質問
民主県政クラブ県議団からは冨永芳行議員(糟屋郡選出)が代表質問を行いました。
県政推進の基本姿勢として来年度の予算編成方針など4項目、子どもの貧困対策の推進、保育所の安全な送迎バス運営に対する支援、下水汚泥の更なる有効活用、公立学校における部活動指導、ニセ電話詐欺対策、及び冨永議員の地元課題として糟屋郡における主要渋滞箇所対策と通学路の安全確保に関して、知事、教育長、警察本部長に質問を行いました。
(1)代表質問の内容
- ①県政推進の基本姿勢について
- ・来年度の予算編成に関する基本方針について
- ・市町村振興の更なる推進について
- ・ジェンダー平等の福岡県づくりについて
- ・新型コロナウイルス感染症対策について
- ②子どもの貧困対策の推進について
- ③保育所の安全な送迎バス運営に対する支援について
- ④下水汚泥の更なる有効活用について
- ⑤公立学校における部活動指導について
- ⑥ニセ電話詐欺対策について
- ⑦糟屋郡における主要渋滞箇所対策と通学路の安全確保について
(2)代表質問の概要
知事は、来年度の予算編成の基本方針について、4項目を例示して示されました。また、市町村の振興に関して、市町村からの意見を踏まえ、新設した市町村振興局に関係各部署も含めて課題解決にあたること、ジェンダー平等の推進のため、県が行っている施策を検証し、今後の事業の企画・立案、予案に反映するとの発言を知事から得ました。インフルエンザとの同時流行も考えられる新型コロナ感染症の対策は、第7波への対応を踏まえ、在宅のコロナ陽性者、インフルエンザ患者それぞれの「オンライン診療センター」開設を予定しているとされました。
更に、子どもの貧困対策として、県と市の自立相談支援機関の連絡会議を充実させ、施策の充実に努める、子どもたちの意見を吸い上げていくとの回答を得ました。保育所の送迎バスへの支援について、運営実態や市町村等の支援状況を調査し、結果を保育所、市町村に提供していくこと、肥料の原料となる下水汚泥については、県及び市町村の浄化センターで発生する汚泥の約34%、10%が原料と利用されており、事業者と緊密な協議を行い肥料化の促進に取り組むと答弁されました。
教育長から、教職員の超過勤務削減につながる部活動指導員の活用と部活動の地域移行について、各学校のニーズを把握するとともに市町村における地域移行を支援していくとの答弁を得ました。
ニセ電話詐欺対策として、警察本部長から、情勢に応じて警察の組織体制の見直しも検討するとの発言を得ました。
3.一般質問
- ①中村香月 議員(久留米市)
- 一、空き家対策について
- 一、病児・病後児保育の推進について
- ②佐々木允 議員(田川市)
- 一、八木山バイパスの渋滞対策について
- ③渡辺美穂 議員(太宰府市)
- 一、違いがある人たちとの共生について
- ④中嶋玲子 議員(朝倉市・朝倉郡)
- 一、平成29年九州北部豪雨災害に対する知事の所見と復旧状況の総括、そして今後の復興について
- ⑤山本耕一 議員(北九州市若松区)
- 一、本県高等学校における「地域学」について
- 一、本県の無形の民俗文化財の悉皆調査について
- ⑥後藤香織 議員(福岡市早良区)
- 一、若者の地元定着のための取組について
- ・県内就職促進について
- ・奨学金の返還支援について
- 一、ウクライナから避難されてきた方々への継続的な支援について
- ⑦新井富美子議員(久留米市)
- 一、学校給食の無償化における県の取組について
4.意見書
- ①建設アスベスト被害者の救済とアスベスト対策の拡充を求める意見書(民主県政県議団)
- ②「旧統一教会」問題に係る必要な措置を求める意見書
- ③鳥獣被害防止対策の充実を求める意見書
- ④帯状疱疹ワクチンへの助成並びに定期接種化を求める意見書
《2023年『2月県議会』報告》
1.議会概要
2023年(令和5年)2月定例会は、2月20日から3月20月までの29日間の会期で開かれました。
知事から、定例会開会日に来年度の予算議案20件と本年度の補正予算議案1件、条例議案20件、契約議案10件、その他の議案6件、計57議案が提案され、2月28日に本年度の補正予算議案12件、条例議案1件、計負担議案10件、その他の議案1件、計24議案が追加提案されました。
提案された主な条例案は、福岡県職員退職手当基金条例の制定、福岡県こども育成基金 条例の全部を改正する条例、福岡県手話言語条例の制定を求める条例案などです。
代表質問、各常任委員会、予算特別委員会にて質疑応答を行い、早期議決を求められた24議案は3月7日に、その他の57議案は定例会閉会日の3月20日にいずれも本会議で議決されました。
2.代表質問
民主県政クラブ県議団の代表質問は、岩元一儀議員(北九州市八幡西区)が行いました。県政推進の基本方針として、新年度予算、教職員の人材確保、ジェンダー平等の3点、留学生の県内企業への就職促進、新型コロナウイルス感染症対策、労働者の賃金引上げ、生活困窮者支援、花粉症対策、県立高校に関する諸問題、ストーカー対策等に関し、知事、教育長、警察本部長に質問を行いました。
(1)代表質問の内容
- ①県政推進の基本姿勢について
- ・新年度予算案について
- ・地方公務員の定年引上げに伴う教員採用等の人材確保について
- ・ジェンダー平等の福岡県づくりについて
- ②留学生の県内企業への就職支援について
- ③新型コロナウイルス感染症対策について
- ④県内労働者の賃金引上げに向けた取組について
- ⑤生活困窮者への対策、包括的な支援体制の強化について
- ⑥スギ、ヒノキの花粉症発生源対策について
- ⑦県立高校における定員内不合格問題について
- ⑧県立高校の入学者選抜における合理的配慮について
- ⑨県立高校魅力化、とりわけ普通高校の改善・改革について
- ⑩ストーカー対策の強化について
- ⑪北九州市の振興に対する支援について
(2)代表質問の概要
「1000億円の人づくり」を中心に来年度予算の基本が知事から示されました。財政調整基金等三基金、財政改革プラン、職員配置、県単独公共事業費の見直しに関しては前向きな発言を得られず、引き続き県を質してまいります。
また知事からは、パートナーシップ宣誓制度のサービス拡大と市町村・他県との連携に 取り組むこと、生活に困窮している方の声を踏まえた困難女性支援基本計画を策定すること、留学生の県内での就職促進に向けて経済団体、業種別団体と就職先を開拓すること、更に5類に見直される新型コロナに対しては医療機関、高齢者施設での課題を取りまとめて国に要望したとの発言を得ました。
更に、中小企業の賃金引上げのため物価上昇分の価格転嫁が可能となるよう取り組むこと、生活困窮者への支援が届くアウトリーチの充実、市町村の重層的支援体制、包括的支援体制の整備を支援するとされました。花粉症委対策として少花粉スギへの植替えの促進、少花粉ヒノキの普及に取り組むと回答されました。
教育長からは、教員確保のため新規採用の確保、定年引き上げに伴う勤務の意思を確認 することを示され、更に県立高校の入学者選抜では極力定員内不合格を出さないこと、障がい等に配慮した措置を講じるとされ、また魅力ある高校づくりのために地域との連携を進めるとの回答を得ました。
警察本部長から、ストーカー事件の事態急変に備え、被害者やその親族等の安全確保を 最優先としてより強力に推進していくとの発言を得ました。
3.一般質問登壇者
- ①佐々木允 議員(田川市)
- 一、重度障がい者の在宅生活支援について
- ②山本耕一 議員(北九州市若松区)
- 一、気候変動への適応について
- ③後藤香織 議員(福岡市早良区)
- 一、投票率向上のための取組について
- 一、保育サービスの充実について
- ④渡辺美穂 議員(太宰府市)
- 一、透析患者への合理的配慮について
- ⑤中嶋玲子 議員(朝倉市・朝倉郡)
- 一、保育所の現状と保育士不足について
4.意見書
- ①地域公共交通への支援の強化を求める意見書(民主県政県議団)
- ②防災・減災、国土強靱化のさらなる推進を求める意見書
- ③農林水産物・食品のさらなる輸出拡大を求める意見書
- ④認知症の人も家族も安心な社会の構築を求める意見書