2023年3月10日「予算特別委員会」
福祉労働部労働局質問
「労働人口減少による社会問題について」

 今予算特別委員会の私の質問の柱は、来るべき人口減少社会を本県としていかに迎えるかという事であります。
 
 2040年問題の深刻さは、単に高齢者の絶対数がビークに達するだけではありません。少子化も進むことを考えると、社会の支え手である勤労世代が大きく減ることにつながります。
 
 総務省人口推計の2022年9月確定値によれば、20〜24歳までの男性人口は299万人、女性は286万人。25〜29歳までの男性人口は303万人、女性は291万人です。

 
 ちなみに、総人口に占める生産年齢人口である15歳〜64歳人口は?7,420万3千人で、前年同月に比べ35万2千人減少となり、過去最低となっています。このことからも明らかなように、今後、各業種による若者争奪戦は激化の一途を辿ると予想されます。
 
 労働力人口のうち、就業者数は、15〜64歳は5,810万人、65〜69歳は410万人、70歳以上の者は516万人。就業者の総数に占める65歳以上の割合は13.7%と上昇し続けています。
 
 「国立社会保障・人口問題研究所」によれば、生産年齢人口は総人口よりもはるかに速いペースで減少すると推計されています。
 
 日本の総人口は2030年に1億1,662万人、2060年には8,674万人まで減少すると予測され、生産年齢人口は、2030年に6,773万人、2060年には4,418万人となり、2010年比較で45.9%まで減少すると見込まれています。
 
 生産年齢人口の減少は少子高齢化に加え、これまでもっとも人口の割合を占めていた団塊世代が現役を引退することも要因に挙げられます。
 
 そして、労働力人口の減少は労働力の不足だけでなく、さまざまな経済・社会保障の問題に発展すると危惧されています。
 
 労働力人口減少で起きるもっとも直接的な課題は人手不足で、長期的には労働力人口の減少が進むため、人手不足がより深刻化します。

 シンクタンクのパーソル総合研究所が発表した「労働市場の未来推計2030」によれば、日本の総人口の3分の1が高齢者になり、労働力人口が大幅に減少すると危惧されている2030年には、644万人の人手不足が起きると指摘しています。


Q1:そこでお聞きします。
 労働力人口の今後の推移と、労働力人口が減少していく社会において、今後はどのような分野の業種で労働力不足が起こってくると考えているのか、お答え下さい。
 

(労働政策課長 答弁)
 本県の労働力人口は、令和2年の国勢調査では、266万9千905人となっています。今後の推移について、独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、経済成長と若者、女性、高齢者等の労働市場への参加が進むと仮定したとしても、令和22年には、令和2年より約10万人減少し、257万4千人になると推計されています。また、労働力不足に関するお尋ねについて、同機構によると、令和22年における産業別の就業者数は、平成29年と比較して、主に卸売・小売業、鉱業・建設業、農林水産業で減少すると推計されています。

 
 いま、お答え頂いたように、社会の様々な分野で労働力不足、いわゆる人手不足が起こり、ものづくりなど日本の基幹産業ですら深刻な影響が出てくるとの事でした。
 
Q2:そこでお聞きします。
 今後、日本で労働力人口が減少することによって、どのような課題が生じると考えられるのか、端的にお答えください。
 

(労働政策課長 答弁)
 人手不足の深刻化は、企業における事業の発展・継続に多大な影響を及ぼすとともに、労働者にとっては時間外労働の増加や働く意欲の低下に結びつきやすいといった課題が生じる可能性があると考えられます。

 
 国内の労働力人口の減少に歯止めがかからない現状を打破する切り札として、政府は「働き方改革」を推進しています。働く人々がそれぞれの事情に応じ、多様で柔軟な働きを自分で選べるようにする改革です。

 具体的には、これまで労働市場に参加していない、できなかった女性の参画、高齢者の雇用促進、外国人労働者の活用など、これまで以上に多種多様な人材が社会で活躍できる働き方を後押しするとしています。

 
 しかし、これまで述べてきた通り、女性や高齢者の就労者を増やし、ニートなど労働参画を図り、潜在的な労働力を発掘したとしても、労働人口減少への効果は限定的です。
 
 生産年齢人口を増やすために欠かせない出生率の上昇も好転する状況にありません。仮に、出生率を改善できたとしても、効果が得られるのは20年後とか、30年後の先になります。
 
 企業に残された取るべき対策は「生産性の向上」であり、限られた人数で以下に最大限の業務を遂行できるか、また新たに価値を創造していけるかという視点で、業務を効率化していくことが重要です。
 
Q3:そこで質問です。
 働き方改革を通じて生産性の向上を図るため、本県が取り組むべき課題、施策はどのようなものを考えているのか、お答えください。
 

(労働政策課長 答弁)
 人手不足の深刻化や技術革新の進展の中で、中小企業等が生産性を向上させ、事業を発展、継続していくためには、企業内の従業員を育成するとともに、若者、女性、高齢者など多様な人材がそれぞれの事情に応じた働き方を選択でき、その意欲と能力を発揮できる魅力ある職場づくりが必要です。
 そのため、県では、自社にふさわしい働き方改革の手法を学ぶ機会として、県内4地域で企業向けにワークショップを開催するとともに、アドバイザーによる伴走支援により企業内の取組を実践までつなげています。
 また、自社の働き方改革の取組を自社内外にPRするため、県のポータルサイト上でその取組内容を宣言し、実行する「よかばい・かえるばい企業」の新規登録を呼びかけており、初年度である平成30年度の登録数が50社であったところ、現在では858社にまで増えています。
 今後も、こうした取組を通じ、県内企業における魅力ある職場づくりを支援し、労働生産性や企業の収益力の向上につなげてまいります。

 
 3月8日の総務費の質疑応答において、松尾委員が「福岡空港」における保安検査員の不足について指摘をされましたが、私も、この質問を作成するにあたり、「福岡空港」の保安検査を受託している警備会社に雇用状況についてお話を伺うことができました。

 全国の空港では、コロナ前と比べ、保安検査員の人数は7,400人から5,600、延べ1,800人以上減少しており、「福岡空港」においては保安検査を行う会社は、コロナ化と比べて4割以上も保安検査員が減少しており、募集してもなかなか人が集まらないと困られていました。


 今後、人口減少社会に到来に控えるため、労働力確保は県政にとっても大きな課題と言えます。


Q4:部長の決意を問う
 そこで、最後に、人口減少社会における本県の労働力確保について、部長の決意をお聞きします。

 

(福祉労働部長 答弁)
 冒頭、課長から答弁申し上げましたとおり、本県の労働力人口は減少するものと推計しております。
 労働資源が限られる中で、働き方改革に取り組み、若者、女性、高齢者、あるいは障害のある方、外国人など多様な人材がそれぞれの事情に応じた働き方を選択でき、それぞれの個性や意欲、能力を発揮できる魅力ある職場づくりを進めることは、人材確保・定着、ひいては、労働生産性や企業の収益力向上につながるものと考えております。
 このことは、企業の経営をする方、雇用されて働く人、双方がお互いWin-Win、共存共栄によってしか成し遂げることができないと考えておりまして、県としましては、今後とも、国や経済団体、労働団体などの関係機関としっかり連携し、いわゆる働き方改革を積極的に推進し、労働力の確保を目指してまいりたいと考えております。