「予算特別委員会」質問:県警察
「『少年法』改正に伴う県警察の対応について」

2022年3月17日

 
 民主県政クラブ県議団の原中誠志です。発言通告に従い、「『少年法』改正に伴う県警察の対応について」質問します。
 
 『少年法』の改正については、ここ20年ほどの間、繰り返し議論され、見直しが行われてきました。そのきっかけは、社会に強い衝撃や不安を与えるような少年事件が相次いだことにあります。少年であっても罪に見合う厳罰が必要だという声が高まるにつれ、法改正されてきました。その背景には、「『少年法』は甘い」という批判がありました。
 
 そして、このたびの法改正につながる直接的なきっかけとなったのは、2015(平成27)年6月、『公職選挙法等の一部を改正する法律』が成立し、選挙権の年齢が   20歳から18歳に引き下げられたことにあります。
 
 その際、同法の附則11条で「民法、少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」としたことから、その後、政府は『少年法等の一部を改正する法律』、以下、改正『少年法』と呼びますが、同法を国会に提出し、2021年(令和3年)5月21日、参議院で可決され、成立しました。改正『少年法』の施行日は、本年4月1日になります。
 
 そして、2018年(平成30年)6月には、成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする『民法の一部を改正する法律』、改正『民法』が成立し、同法も本年4月1日からの施行となります。
 
Q1:そこで県警察総務部長にお聞きします。
  本年4月1日から施行される改正『少年法』について、改正のポイントをお聞かせください。
 

  • 県警察総務部長:
    •  今回の改正のポイントは、少年の更生を目的とした少年法の基本的な枠組みを維持しつつ、18歳と19歳の少年を「特定少年」と呼称し、17歳以下の少年とは異なる特例が定められたことです。

 
 しかしながら、この“特例”というのがどういうことなのか、なかなか判りづらいところがあります。
 
Q2:そこで県警察総務部長お聞きします。
   「特定少年」にかかる特例の内容とはどのようなものか、お答えください。
 

  • 県警察総務部長:
    •  主な内容として2点説明します。
       1点目は、特定少年に係る事件の家庭裁判所への送致手続です。
       これまで、18歳と19歳の少年についても、罰金以下の刑に当たる事件は家庭裁判所に直接送致していましたが、今後は、特定少年に係る事件は、刑の軽重に関わらず、全て検察官経由で家庭裁判所に送致することとなります。
    •  2点目は、特定少年に係る原則逆送対象事件の範囲拡大です。 
    •  「逆送」とは、一定の重大な罪を犯した少年について、家庭裁判所が刑事処分相当と判断した少年事件を再度検察官に送り返す手続をいいます。
    •  特定少年の原則逆送対象事件については、従来から対象とされていた「殺人」や「傷害致死」など故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件に加え、「放火」や「強制性交等」、「強盗」などの事件が追加されることとなります。

 
 いまご説明がありましたが、18歳及び19歳の者に関していわゆる「原則逆送」事件の対象範囲を強盗罪や強制性交等罪も含む短期1年以上の懲役禁錮の罪の事件にまで拡大されるということですが、いずれも現行『少年法』の内容から大きく変わった点だと思います。
 
 これまでの『少年法』の主旨は、2010年施行の『子ども・若者育成支援推進法』にもあるように、困難を抱える子ども・若者の成長発達に対する国・地方公共団体の支援施策の重要性を踏まえるとともに、少年の立ち直りと成長支援の機会を与えるというものでした。
 
Q3:そこで県警察総務部長お聞きします。
   改正法を踏まえ、県警察としての対応はどうのようになっていくのか、お聞かせください。
 

  • 県警察総務部長:
    •  県警察といたしましては、引き続き少年法の目的や理念を踏まえ、適切に対応して参ります。また、特定少年を含む少年の健全育成のためには、早期の段階における働き掛けが有効でありますので、関係機関・団体と連携し、立ち直り支援をはじめとする各種対策を推進してまいります。

 
 いまお答え頂きましたが、県警察として、引き続き少年法の目的な理念を踏まえ、適切に対応されるという事です。
 
 県警察として、これまで少年の犯罪については、処分の決定後、少年の立ち直り、再発防止、そして成長支援を行ってきたと聞いています。
 
Q4:そこで県警察総務部長お聞きします。
   県警察における少年の立ち直り支援対策はどのようなものであるのか、お聞かせください。
 

  • 県警察総務部長:
    •  県警察では、少年及び保護者等からの相談や少年院及び保護観察所からの協力要請を受け、家庭訪問や面接のほか、関係機関・団体と連携した就学・就労支援等を少年サポートセンター職員が中心となって実施しています。

 
 県警察における少年の立ち直り支援策について、「少年サポートセンター」を中心とした取り組みについてご説明頂きました。大変すばらしい取り組みと思っています。
 
Q5:そこで県警察総務部長お聞きします。
 この「少年サポートセンター」の取り組みについて、もう少し具体的な活動内容についてご説明ください。
 

  • 県警察総務部長:
    •  少年サポートセンターは、県警察本部少年課の附置機関として、県内5か所に設置され、心理学等の専門知識を有する15名の少年補導職員が中心となり、少年自身や保護者などからの相談対応や少年の立ち直り支援、非行防止教室などの広報啓発活動を推進しています。

 
 今回の改正『少年法』の施行後の対応について、やり取りをさせて頂きましたが、1点、県警察本部に要望を申し上げたいと思います。
 
 今回の改正『少年法』では、「逆送」が決定された場合、検察官により刑事裁判所に起訴され、有罪となれば懲役刑、罰金刑などの刑罰が科されます。加えて、起訴された場合には実名報道が可能となっています。
 
 さらに、推知(すいち)報道(ほうどう)については、インターネット上での掲載により当該情報が半永久的に閲覧可能となることや、公判請求がなされたとしても刑事裁判所の判断により再び「家庭裁判所」に移送され保護処分となる可能性があることも踏まえ、少年の健全育成及び更生の妨げにならないように十分に配慮し、実名報道など、事案の内容や報道の公共性については慎重に検討するべきであると考えます。
 
 しかし、一旦、実名が報道されると、瞬く間にネット上で拡散され、中学校や高校の卒業アルバムの写真がアップされたりすることも想定されます。その子の素行(そこう)や家庭環境さえもネットにアップされ、真実でないことさえも枝葉がついて凶暴犯、凶悪犯に仕立て上げられることも考えられます。
 
 ネット社会の宿命とはいえ、ネット上の差別的な書き込みについては、常にネット監視を行い、差別や偏見に基づいた誹謗中傷などについてはプロバイダに削除を求めるといった日常の取り組みが必要であり、行政、法務省のみならず、関係機関の連係が必要です。
 
 本県には「インターネット上の部落産別書き込み等対策会議」が設置されており、差別書き込みを確認すると、プロバイダに対する削除要請を行うとともに、法務局への削除要請依頼を行っています。更に、県警察に対しても情報提供を行っています。
 
 県警察では、ネット上でのさまざまな犯罪を監視し、取締りするため、日々、サイバーパトロールを行っていると聞いております。
 
 そこで要望です。
 県警察として、サイバーパトロールを行っている中において、ネット上に差別落書き、また、差別の助長、いわれなき誹謗中傷など、人権上問題のあるページを確認した場合は、県人権・同和対策局、更には、法務局人権擁護局に通報、連絡などの連係を図って頂きますよう求めるものです。
 
 以上、要望も含め、私の質問を終わります。