2022年10月「決算特別委員会」質問:県警察
「青少年の再犯防止と県警察の対応について」

 民主県政クラブ県議団の原中誠志です。発言通告に従い、「青少年の再犯防止と県警察の対応について」質問します。
 
 本年2月の「予算特別委員会」において、『少年法改正に伴う県警察の対応について』ということで県警総務部長に質問させて頂きました。

 その中で、県警察として、罪を犯した少年について、処分の決定後、少年の立ち直り、再発防止、そして成長支援のため、「少年サポートセンター」を中心とした少年の立ち直り支援策を講じておるとの事でした。

 今議会、私は一般質問において「児童虐待と少年犯罪について」本県の対策について質問しました。

 その中で、「少年院」に収容される少年も全国的に減少していまが、在院する少年・少女のうち「親などから虐待を受けた」と答えた割合は年々、増加の一途を辿っている。そして、2020年、令和2年の法務省の調査では、「少年院」に収容された者のうち、男子の約4割、女子の約7割が虐待を受けていたことが明らかになっていると述べました。

 また、警察庁生活安全局少年課が公表した「令和3年度少年非行、児童虐待及び子どもの性被害の状況」によると、全国の児童虐待の通告児童数は108,059人となっています。

Q1.そこでお聞きします。
 福岡県警察が受けた2021年、令和3年の児童虐待の通告児童数は何件に上るのかお示しください。
 その上で、身体的虐待、性的虐待、怠慢・拒否、面前DVを含む心理的虐待の、それぞれの件数と、傾向があればお示しください。
 
  • 令和3年中に、警察から児童相談所に通告した児童数は、6,451人で、前年と比較して527人増加しており、過去最多となっています。
  • 態様別では、心理的虐待が5,030人で最も多く、続いて身体的虐待が964人、ネグレクトが440人、性的虐待が17人の順となっています。
  • 最も多い心理的虐待は、全体の約8割(78.0%)を占め、そのうちの約9割(88.6%)を、面前DVが占めるという傾向があります。
 
 警察と児童虐待の関りについてですが、警察は児童虐待を受けた児童を含む要保護少年について、少年に保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認められる時は、児童通告書により「児童相談所」に通告するという「少年警察活動規則」があります。
 
 この「少年警察活動規則」が一部改正され、本年1月11日に公布され、同年4月1日から施行されています。
 
 そこで、「少年警察活動規則の一部を改正する規則」改正を踏まえ、県警察の児童虐待対応についてお聞きします。
 
Q2.警察において、児童虐待を疑わせるという通報を受けた場合、どのような対応を取られるのか、お聞きします。
 
  • 児童虐待が疑われる通報を受けた場合は、速やかに警察官を現場に臨場させ、児童の身体の外傷の有無を直接確認するとともに、児童や保護者等からの事情聴取を行います。
 
Q3.虐待通報が警察にあり、現場に警察官が到着後、虐待の事実が認められた場合の対応はどうなるのか、お聞きします。
 
  • 児童虐待のおそれがあると認められる場合には、児童相談所に対する通告を実施するとともに、必要がある場合には、所要の捜査を行うことになります。
 
Q4.それでは、虐待の事象が見受けられない場合の対応はどうなるのか、お聞きします。
 
  • 児童虐待のおそれが認められない場合でも、児童相談所に対して、児童や家庭の状況等、その後の家庭支援に必要な情報を提供しているところであります。
 
Q5.さらに、現場に駆けつけた警察官が、身体的虐待などにより事件化の必要性があると判断した場合は、どのような対応となるのか、お聞きします。
 
  • 事件化の必要性があると判断した場合は、児童相談所長からの委託による一時保護の措置等を行い、児童の安全を確保した上で、速やかな被疑者検挙に向けた所要の捜査を行っていきます。
 
 以上、やり取りをさせて頂きました。
 私は今議会の一般質問において、虐待が児童への心身に大きな傷を与えるということを述べました。さらに、少年犯罪と児童虐待との関係を調べると、専門家の間でも関係性が強く指摘されるなど、虐待は決して看過できるものではありません。
 
 昨年7月に公開され、国内で大ヒットとなった『竜とそばかすの姫』というアニメ映画があります。「第74回カンヌ国際映画祭」にて、「カンヌ・プルミエール部門」に選出され、海外でも高い評価を得たアニメ映画です。

 この映画の底流にあったのが児童虐待でした。
 主人公の少女が、虐待を受けている二人の少年の居場所を突き止め、管轄の児童相談所に保護を要請する電話を入れるものの、「すぐにはできない。ルールがある。48時間。」と返されてしまいます。
 
 この「48時間」という数字ですが、児童相談所は過去の虐待死を防げなかったことから、「48時間までに安否確認をする」という時間ルールを設けていたものの、守れなかった事例が相次いでいたということから、「直接子どもの様子を、48時間以内に確認する」という事です。
 
Q6.今回、児童虐待について県警察とやり取りをさせて頂きましたが、虐待を疑わせる事案が発生し、警察に通報があり、現場に警察官が駆けつけた際、そこで虐待の状況を的確に把握し、対応を行うという事が極めて重要になるという事を、あえて指摘させて頂いた上で、最後に、虐待死を根絶し、虐待による子どもへの傷害をなくし、子どもたちの健やかな成長を確保するため、県警総務部長の決意をお聞かせください。
 
  • 児童虐待は、子どもの人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものであります。
  • また、児童自ら助けを求めることが困難であるなどの理由により、被害が潜在化・長期化することから、幼い命が犠牲になるなど、重大な結果に発展する可能性があります。
  • 県警察といたしましては、あらゆる警察活動を通じて、児童虐待の早期発見に努めるとともに、児童相談所をはじめとした関係機関との連携を緊密に図り、児童の安全確保を最優先とした対応を徹底してまいります。