2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答
2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答
2.日本銀行の利上げについて
日本銀行は2025年12月に金融政策決定会合を開催し、政策金利を0.5%程度から0.75%程度へ引き上げることを決定しました。日銀の利上げは同年1月以来、約1年ぶりで0.5%を上回る政策金利水準は1995年以来の約30年ぶりとなります。
金利の上昇は、金融資産を有する方々は受取利息の増加の恩恵を受ける事ができる一方、融資を受けている側にとっては支払利息が負担増となります。
①そこで知事に質問です。
まず1点目に、金利の上昇が本県経済に与える影響を知事はどのように捉えられておられるのか、お答えください。
○一昨年3月にマイナス金利政策が解除されて以降、数度の利上げを経て、昨年12月には政策金利が0.75%に引き上げられた。
また、市場金利は、九州沖縄の新規貸出分の長期金利の平均が、昨年11月で1.297%となり、前年同月から約0.28ポイント上昇している。
○一般に、金利が上昇すると、企業や個人は資金を借りにくくなり、経済活動が抑制されて、景気の過熱が抑えられるとされている。
日銀の植田総裁は、先月23日の金融政策決定会合後の記者会見で、「これまでのところ、企業等の資金需要は緩やかな増加を続けており、金融機関の貸出態度も引き続き積極的」と発言している。
○こうした中、本県経済をみると、企業の設備投資については、今年度の計画額が、九州沖縄で、前年度比プラス4.5%となっている。
また、金融機関の貸出状況については、国内銀行の貸出金残高が、県内で、前年から1兆円余増加している。
○このように、統計上の動きからは、利上げが本県経済に与える影響は、まだ明らかではないが、内閣府の「景気ウォッチャー調査」をみると、金融業界からは、「取引のある中小企業事業者は、借入れによる設備投資についてやや慎重な姿勢がみられる。」といった声が挙がっている。
○利上げ局面にあっても、中小企業が成長を続けていくためには、稼ぐ力を高めていくことが重要である。
このため、県では、
- 中小企業の生産性向上からDX導入までを国と連携してワンストップで支援する、「福岡県中小企業“稼ぐ力”応援センター」の設置や、
- 半導体、宇宙などの先端成長分野をはじめ、中小企業の新製品開発や販路開拓などの「挑戦」を後押しする、賃上げを要件とした補助率の嵩上げなど関連予算を今議会に提案しているところである。こうした取組により、県内中小企業をしっかり支えてまいる。
次に地方自治体の財政への影響についてお聞きします。
日本銀行によるマイナス金利政策の解除は、過去数十年にわたり「金利はほぼゼロ」という前提で構築されてきた地方自治体の財政運営の根底を揺るがす、重大な環境変化です。金利上昇が地方財政に与える3つの主な影響は、公債費の増加、一時借入金利息の上昇、財政調整基金などの運用益の増加です。
総務省の発表によれば、2022年度末の地方債現在高は、臨時財政対策債を含めると約193兆円に上ります。これらの多くが、今後順次、満期いわゆる償還を迎えます。
特に、債務残高が既に高い団体や、これから大規模な庁舎建て替えや学校の長寿命化改修など施設整備で多額の起債を予定している団体は、金利上昇の影響は大きなものとなり、金利上昇局面においては、時価評価ベースでの含み損が拡大することになります。
本県においても、金利上昇リスクに関して公営企業担当部局とも情報を共有し、全庁的な影響を把握し、対応する必要があると考えます。そこでお聞きします。
②そこで知事に伺います。
まず、本県の本年度末において、県債残高、全公営企業会計の企業債の残高及び合計額はいくらになる見込みなのかお聞きします。
また、本県が保有する運用資産・基金のうち、債券運用総額及び運用債券の内訳をお示しいただき、その上で、金利上昇が本県財政にどのような影響を与えるとお考えか、更に今後の公債発行や財政調整基金などの運用についての考えをお聞かせください。
○今年度末時点の県債残高は、普通会計ベースでは3兆6,873億円、流域下水道事業会計ほか4つの公営企業会計の企業債残高の合計は、540億円、総額3兆7,413億円となる見込みである。
○また、県が保有する債券の運用総額は、今年度末時点で6,849億円となる見込みである。
その内訳は、本県と同等以上の格付けを有する財投機関債・政府保証債が、5,367億円、次いで、地方債が1,451億円、国債が31億円となっている。
○次に、金利上昇が県財政に与える影響である。
まず、歳出面においては、県債発行に伴う利払い負担が増加することとなる。そのため、今年度の市場公募債発行にあたっては、発行時期を前倒しするとともに、金利が大幅に上昇していた超長期債の発行を抑制することで調達金利の低減を図ったところである。
また、ワンヘルスボンド及びグリーンボンドは、いずれも投資家の皆様から非常に好評で、一般の地方債と比べて低い利率での発行ができた。
今後の発行にあたっても、金利の動きをしっかりと見極めつつ、マーケットと丁寧に対話を重ねながら、できる限り調達金利の低減を図ってまいる。
○他方、歳入面、基金の運用については、本県は、全ての基金を財政課が一体の資金として運用する一括運用や、預金から債券へのシフトなど、運用収益の向上に向けた積極的な取組を進めてまいった。
今後も、元本の安全性確保、並びに資金の流動性確保の観点を第一に考えながら、金利上昇局面を活かした基金運用に努め、より一層の運用収益の向上を図ってまいる。
金利上昇の影響は一般会計に留まらず、上下水道、病院、交通などの公営企業会計も、多額の「企業債」を発行してインフラ整備や更新を行っており、一般会計と同様に、既発企業債の借り換えや新規発行債の金利が上昇すると、公営企業の経営を直接圧迫するコスト増の要因となり、財政力が脆弱な自治体においては金利上昇による償還の負担がより一層、財政を圧迫するのではないかと考えます。
③そこで知事に伺います。
金利上昇の影響に伴い、地方債を発行する県内市町村の財政にどのような影響があると捉えられているのかお聞きするとともに、市町村の財政運営に対し今後どのような助言を行っていくのかお示しください。
特に、上下水道事業、病院事業、交通事業などを行っている市町村には大きな影響があります。丁寧な答弁を求めます。
○市町村における地方債資金の多くは、民間より低利な財政融資資金などの公的資金ではあるが、今後は、金利上昇の影響により、新規発行に伴う利払い負担の増加が見込まれる。
特に、上下水道など各種インフラの老朽化が進み、その整備・改修等に多額の地方債の発行が見込まれる場合には、公債費負担の今後の見通し等を踏まえた適切な財政運営の確保が求められる。
○県では、市町村の財政運営に問題がないかを把握するため、毎年、全市町村にヒアリングを行い、実質公債費比率をはじめとする各種財政指標の状況やその変動要因、今後の対応方針等を確認している。
引き続き、ヒアリングや個別相談の機会を捉え、将来にわたり財政の健全性が確保されるよう、中長期的な視点に立った計画的な財政運営について助言してまいる。
○あわせて、市町村に対して、民間資金よりも低利で、かつ長期に借り入れることができる市町村振興基金の貸付事業を行い、市町村財政の負担軽減を図っている。
また、資金の調達には、金融の専門的な知識が必要となることから、地方公共団体金融機構が実施している専門家による出前講座や個別相談事業の積極的な活用についても促してまいる。
次に教育長にお聞きします。
日銀の利上げ、いわゆるマイナス金利解除を受け、2023年以降、日本学生支援機構(JASSO)の「第2種(利子付き)奨学金」の利率が上昇傾向にあります。これにより、特に「利率見直し方式」で貸与を受けている場合や、これから利率が確定する新規貸与者において、将来の利息負担と総返済額の増加が懸念されます。
利率上昇が与える影響としては、固定・変動問わず、利率上昇によって利息負担が増え、返済負担が増加します。
毎月の返済額を固定している場合、元金が減りにくくなり、返済期間が長くなることが考えられ、「第2種奨学金」の金利については、約13年ぶりの高水準となる1.34%(2023年11月時点)に達する事例も出ています。
そのため、主に有利子の「第2種奨学金」を現在借りている、あるいはこれから借りる人。すでに返還中で「利率見直し方式」を選択している人たちが大きく影響を受けることになります。
現在、大学を卒業後、数百万円の奨学金という名の借金を背負って社会に出る若者は少なくありません。そのうえ、金利上昇による利息・返済負担が増えることは、将来にわたって負担が重くのしかかることになります。
④そこで教育長にお聞きします。
返済が困難になった場合、減額返還や返還免除、返還猶予制度の利用、ひいては、契約の「利率固定」か「利率見直し(変動)」かの説明や、将来の見通しを立てるといった説明を、本人やご家族に伝えるべきだと思いますが、現在、大学進学を希望する高校3年生を対象に、日本学生支援機構の奨学金を借りる際の制度の説明をどのようにされているのか、お答えください。
○現在、多くの県立高校では、進路選択が本格化する3年生の1学期に、生徒や保護者を対象にした進路説明会を実施しており、その中で日本学生支援機構の奨学金の制度に関しても周知している。
さらに、奨学金を希望する生徒に対しては、進学前に申込みを行う「予約採用」の手続きの際に、貸与金額や、一旦選択した利率の算定方法は貸与中であれば変更が可能であること等の返還方法の詳細が示された手引き等を学校から生徒へ配布し、保護者も含め奨学金制度を十分に理解した上で、申込みを行うよう説明している。