2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

3.本県農林水産業を取り巻く問題について
 昨年4月に農林水産省が公表した、市町村が作成した10年後の農地利用の見通し、いわゆる地域計画の取りまとめによると、福岡県内農地において32.2%で担い手が不在とされ、これは全国平均の31.7%を上回っています。
 こうした中、県は朝倉市杷木久喜宮(はきくぐみや)地区をモデル地区として、農地の集約化や設備改修など、効率的に営農できる環境整備を行い、担い手が不足する地域と経営強化を望む担い手を結びつける先進的な取組が行われています。これは「平成29年7月九州北部豪雨」以降、度重なる災害から農地、農業の復興を目指す過程で始まりました。そのため、県は農地の貸し借りなどを行う公的機関である「公益財団法人 福岡県農業振興推進機構」内に2021年11月に「農地利用調整戦略室」を創設しました。
 県はこの取組を後押しするため、農林水産部から農業分野、農業土木分野の技術職員6名を機構に派遣しています。今後、農業の担い手が減少することが想定されている中にあって、農地の効率的利用と生産性の向上を図るためこのような取組が他の地域でも展開していくことが重要と考えます。
 一方、国は、農業経営基盤強化促進法の改正により、市町村が2025年3月までに農地の将来像を示す地域計画を作成するように法定化し、同年4月からは、農地の貸し借りを原則として福岡県農業振興推進機構、いわゆる農地バンクを介して行う仕組みとしました。
 更に今年1月には政府が設置している規制改革推進会議の農業分野を扱う作業部会において、農地集約を進めるために必要な制度や運用の見直しについて議論し、5月頃に農地バンクの機能強化のための意見を取りまとめて政府に答申する事としています。
 1つの圃場の区画が大きく、用水の確保が容易であるなど生産条件の良い優良農地は、作業の効率化や、スマート農業の推進に役立つと考えられます。
 
①そこで知事に伺います。
 1点目に、農地利用調整戦略室が創設されて4年以上が経過しましたが、これまでの取組を総括した上で、現時点で認識している課題をどのように捉えているのかお答えください。そして今後、このような取組を県内各地でモデル事業として展開し、農地の有効利用と農業振興に結び付けていくべきと考えますが、知事の方針をお聞かせください。

○農地利用調整戦略室では、度重なる大雨被害を受けた農家向けに被災リスクの低い農地を確保するため、朝倉市の杷木久喜宮(はきくぐみや)地区や烏集院(うすのいん)地区において、農地の集積・集約化を推進してまいった。
 その結果、地区内農地の約43ヘクタールのうち、74パーセントが担い手に集積され、さらに1ヘクタール規模に団地化された農地が18ヘクタール確保された。
 
○この取組を進める中で、

  • 地権者の多くは、面識のない相手に農地を貸すことに抵抗があり、集積・集約化の話し合いが進まない
  • 一区画の面積が小さいなど耕作条件が悪く、農地の受け手が見つからない

といった課題が明らかになった。
 
○このため、農地利用調整戦略室では、規模拡大の意欲がある担い手と地権者の意向を丁寧に聞きながら農地のマッチングを進めるとともに、生産性向上のための大区画化や暗渠排水といった条件整備を併せて実施してきたところである。
 
○県としては、戦略室と連携しながら、朝倉市での取組をモデルとして他の地区へ展開し、担い手へのさらなる農地の集積・集約化を図ってまいる。

 県内で農地集約を進めるに当たっては各地に点在する耕作されていない農地、いわゆる荒廃農地の問題があります。荒廃農地については地権者の同意が得られなかったり、地権者自体が不明であったりして、農地の貸し借り・集約が進まないというケースがあります。
 
②そこで2点目に伺います。
 県が把握している県内の荒廃農地の面積と、県内農地全体に占める割合をお示しください。その上で、県はこうした土地も含めた農地の集積・集約化をどのような考えのもとでどのように進めていくのか、知事の考えをお聞かせください。

○県内における荒廃農地面積は、昨年度末時点で4,292ヘクタールであり、農地全体に占める割合は5.2パーセントとなっている。
 
○荒廃農地は、農地の集積・集約化が進まない要因の一つであり、これを解消するため、県では、農地中間管理機構が荒廃農地を借り受け、草刈りや農地を耕すことにより再生した上で、担い手に貸し付ける取組に対して支援している。
 また、農地中間管理機構を介した農地の貸借は、貸し手には税制の優遇措置が受けられ、借り手には複数の賃料支払いを一本化できるといったメリットがあることから、この内容を改めて周知し、機構を通じた農地の集積・集約化を進めてまいる。
 
○加えて、来年度から、「構造転換緊急プロジェクト」として、市町村が策定している地域計画において、将来の農地の受け手を明確化するとともに、集約化・大区画化した農地において必要となる機械の導入等を支援してまいる。

 つぎに、本県農業に従事している外国人労働者について伺います。
 今年2月の衆議院選挙でも、外国人政策や、外国人受入れの厳格化などが争点となりました。しかし、農業の現場からは外国人抜きにしては成り立たないとの声も聞かれます。今年2月の新聞報道で取り上げられた久留米市の農家では従業員16人のうち14人がベトナムやフィリピン、インドネシアなどからの外国人で占められ、技能実習や特定技能の在留資格のもとで朝早くから野菜作りや出荷などに従事しているとのことでした。
 全国の、農業分野で働く技能実習生と特定技能の外国人は2024年末の時点では約6万1千人で年々増加の一途です。政府は1月下旬に技能実習に代わって2027年度から導入する在留資格「育成就労」について、特定技能制度と併せての方針を閣議決定し、農業分野で働く外国人の上限は、2024年度から5年間で9万9600人と定められました。
 一方、国の試算によると、農業従事者の数については2028年度に約98万人と、2023年度と較べ約40万人減少するとされています。政府は生産性向上や女性、高齢者の就業促進で賄えるとしていますが、現場からは絵に描いた餅、農業現場の人手不足は外国人抜きでは解消できないとの声も上がっています。農業従事者を確保していくには、そこで働く外国人が安定的に就農できる環境づくりも重要と考えます。
 
③そこで3点目に伺います。
 本県農業に従事している外国人労働者の数について、特定技能を含めてお教えください。そして、農業における外国人労働者の必要性についての知事の所見と、県として行っている農業の生産現場における外国人労働者への支援、更には地域住民と共に円滑な社会生活を送るための支援についてもお聞きします。

○本県の農業に従事する外国人労働者数は、福岡労働局によると令和6年10月時点で約2,000人であり、このうち特定技能で就労されている方は、581人となっている。
 
○今後も高齢化や人口減少により、農業従事者の減少が見込まれる中で、外国人労働者が必要とされる生産現場で活躍していただくことが、持続可能な農業を実現するために不可欠と考えている。
 
○このため、県では、普及指導センターが、農業者の要請を受け、外国人労働者への栽培指導を行い、農業生産にかかる技術や知識の習得を支援するとともに、熱中症予防の外国語パンフレットを提供し、農作業の安全対策について指導している。
 
○また、外国人労働者が地域で円滑な社会生活を送れるよう、ゴミ出しや自転車の駐輪など生活マナーや交通ルールを学んでいただく説明会を実施するとともに、市町村や地域の国際交流協会が運営する日本語教室に日本語教育の専門家を派遣し、運営支援を行っているところである。
 さらに今後は、日本語が全く分からない外国人労働者の家族を対象とした日本語教室の開設を支援することとしている。

 次に本県水産業について伺います。
 知事は、本議会冒頭の議案説明の中で、「消費・販売を拡大し、『稼げる農林水産業』を実現することについて、「活水産物の輸出が解禁されたベトナム向けにマダイとカキの試験輸出を実施」すると打ち出されました。
 本県産のカキについては、その一部が生食用としてシンガポールへ輸出されていますが、この度、2025年の実質GDP成長率が8%を超えるベトナムへの試験輸出を実施し、さらなる販路拡大に取り組もうとされています。県産カキの品質を維持しながら輸出することが出来れば、ブランド向上に資するものであると考えます。
 
④そこで知事に知事に伺います。
 人口減少に伴う国内市場の縮小も視野に入れ、国内だけでなく海外に目を向けて県産カキの販路拡大を行っていくことが重要と考えますが、県としてのこれまでの取組と今後どのように取り組んでいくのか、お答えください。

○県では、将来的な国内市場の縮小を視野に入れ、販路の多様化を図るため、海外の輸入業者を産地へ招へいし、商談の支援を行ってまいった。
 これらの取組の結果、シンガポールや香港、タイなどへの輸出が実現し、現地の高級レストランで県産カキが採用されている。
 
○これらの国・地域にカキを輸出するにあたっては、国内向けと同様に衛生管理を徹底する必要がある。
 このため、県では、カキの洗浄機や紫外線殺菌装置などの整備に対して支援するとともに、カキ養殖業者向け衛生講習会を開催し、定期的な細菌検査など、出荷時の取扱いについて指導を行っている。
 また、シンガポールでは、国内基準にない衛生基準を満たす必要があり、県において衛生管理プログラムを策定し、養殖業者への遵守を徹底しているところである。
 
○加えて、ベトナム向け活水産物の輸出が、一昨年に解禁となったことから、来年度、カキの試験輸出を行い、着荷品質の改善に取り組むとともに、漁業者を現地に派遣し、輸入業者との協議や現地ニーズの把握を通じて輸出産地の育成を図ってまいる。

 次に、カキ養殖も含めた漁業経営、主に設備投資への支援について伺います。
 漁業者が、長く漁業を続けていくためには、漁船や漁具等の設備の更新が不可欠ですが、新品導入のみを前提とした支援では負担が大きく、更新が進みにくいという実態があり、大規模な設備更新を迫られた漁業者が、それを機に廃業を決めたという声もお聞きしています。
 また、新たに漁業に就業しようとする人にとって、その初期投資は非常に大きな負担となります。
 中古漁船や漁具の補助については国の支援があるとのことですが、漁業者の中にもそうした制度を知らないという声もあり、更なる周知が必要と考えます。
 また、京都府や島根県では、県事業として中古漁船や漁具の取得費を助成しています。
 
⑤そこでこの項の最後に、知事に伺います。
 国が行う中古漁船や漁具等の導入に関する補助金をどのように周知しているのか、また、県では、中古漁船や漁具等の導入に対し、どのような支援を行っているのかお聞かせください。

○国は、平成27年度から、漁連などの漁業団体が、中古の漁船や漁具を取得し、それを漁業者にリースする際に、漁業団体に対し取得経費の2分の1以内の範囲で支援する事業を実施している。
 県では、本事業について、リース事業者となる漁業団体を対象に説明会を開催し周知している。その結果、これまでに中古漁船72隻が導入されている。
 
○また、漁業者が中古の漁船やエンジンなどの設備を導入する際には、県が現行3.95パーセントの金利のうち1.25パーセントを助成する漁業近代化資金の活用を促すことで、設備投資の負担軽減を図っており、昨年度の実績は、中古漁船など10件となっている。