2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

2026年「2月県議会」代表質問 質疑応答

2026年2月27日

8.生成AIにまつわる問題について
 県庁内におけるAIガバナンスについて伺います。
 AIガバナンスとは、AIにまつわる倫理違反、差別、セキュリティ問題などのリスクを適切に管理し、安全性や透明性を確保しつつ、AIのもたらす利益を最大化するための組織的な体制やルール作りといった包括的な管理体制のことです。国はAI利活用の加速的推進とあわせ、AIガバナンスの主導などを柱とする人工知能基本計画を昨年12月に決定しています。また経済産業省はそれに先駆けてAIガバナンスの在り方を検討しており、「様々な分野の有識者の知識と経験を結集しなければ解決できない喫緊の課題である」と位置付けています。
 本県は生成AIチャットサービスの全庁導入や行政手続きのオンライン化、官民データ連携基盤がすでに整備されています。こうした取り組みをさらに発展させるためにも、AIガバナンスの整備が不可欠だと考えます。
 
①そこで知事に伺います。
 本県としてもAIガバナンスを整備すべきと考えますが、今後どのようにその整備を進めていかれる方針なのか、知事の考えをお尋ねいたします。

○県では、生成AIの活用にあたり、令和5年9月に策定した「生成AI庁内利活用ガイドライン」を、デジタル技術の進歩等に合わせて、随時改訂を加えながら運用している。
 このガイドラインでは、誤情報の拡散、著作権の侵害、情報の漏洩、人権の侵害といった生成AIのリスクを明示し、職員にこれらのリスクを十分理解させた上で、生成AIの有効かつ安全な利活用を推進している。
 
○こうした中、国は、昨年12月に閣議決定した人工知能基本計画において、人とAIが協働する社会でAIの利活用と技術革新の好循環を実現する環境を構築するため、AIの信頼性を高める「AIガバナンス」を主導することとしている。その中で、行政分野においては、物事を自ら判断し実行するといった、先進的なAIの円滑かつ適正な利活用に向け、今後、国において、指針や各種ガイドライン等を作成することとしている。
 
○昨今のAIの技術革新は目覚ましく、今後、県においても、自律的に業務を実行できる、より先進的なAIの活用について検討が必要になることが予想される。
 このため、県としては、国の動きも注視しながら、AIガバナンスの視点を取り入れたガイドラインの見直しについて検討してまいる。

 続いて教育長に伺います。現在、学校や家庭で子どもたちがAIを調べ物や宿題の答案づくりに使ったりするほか、家族や先生にも相談できない悩み事をAIに相談するといったこともあるということです。しかしAIが示す答えが間違っていたり、倫理的に問題があったとしてもそれを鵜呑みにしてしまう、またAIに頼り切ってしまい、物事を自ら判断したり、考える力が育ちにくいという問題が生じています。
 教職員組合が教職員に実施したアンケートでは、AIの利便性について現場では一定の評価はしているものの、子どもたちがAIの作った文章をそのまま丸写しして内容もよく把握しないまま学校新聞を作成したり、AIをあてにして自分で考えない生徒がいるとの報告が挙げられているほか、AIの活用は子どもにとって良くないことなのではないかと心配する声も上がっています。子どもたちがAIに頼り切って客観的な物の見方、論理を展開する力を身につける機会を失わないよう、それらを教育現場で補完する取組が必要と考えます。
 またAIはいまや画面の中だけの存在ではなく、受付ロボット、介護ロボット、配膳ロボット、見守りAIなど、物理的な形を持つ「フィジカルAI」として生活空間にありふれた存在になりつつあります。子どもたちがロボットに強い親近感を抱いて依存しきってしまうケースも考えられ、AIとの距離感をどのように保つのかを教育現場でも示していく必要があるのではないかと思います。
 
②そこで教育長に伺います。
 AIの弊害についての教育長の認識についてお答えいただいた上で、その弊害を踏まえて、教育現場における適切なAIの利活用についてどのように進めていくか、教育長の考えをお示しください。

○生成AIについては、適切に活用すれば、児童生徒の探究的な学習をより深めることができる一方で、安易な依存による批判的思考力や創造性への影響、不正確な情報の生成、人権の侵害、情報漏洩など、様々な懸念があると認識している。
 
○このため、児童生徒に対して、生成AIの基本的な仕組みや特徴を十分理解させた上で、自他の権利を尊重し情報化社会での行動に責任を持つことや、情報を正しく安全に利用することなど、情報モラルを含む情報活用能力を育成していくことが重要であると考えている。
 
○県教育委員会としては、生成AIの適切な利活用を推進するため、学校教育の情報化の方向性等を示す学校教育情報化推進計画において、生成AIの利活用に関する内容を盛り込むとともに、教員研修の充実を図ってまいる。

9.教育現場における会計年度任用職員に係る制度の課題について
 県内公立学校における会計年度任用職員は、児童生徒の学習支援や事務補助、特別支援教育のサポートなどの業務を担っていますが、人手不足の現在、授業までも行う教育現場には欠かせない存在となっており、その雇用安定と継続的な任用、処遇の是正を制度として保障することが欠かせないと考えます。
 総務省は、会計年度の制度導入の趣旨として、「これまで制度的に不明確であった非常勤職員の任用・処遇の在り方を整理し、適正な任用と勤務条件の確保を図るため」と明確に示しています。
 しかしながら学校現場では、特に非常勤講師について、会計年度任用職員制度の導入以降も制度の趣旨と実態がかけ離れているとの声が聴かれます。
 具体的には、夏休みに任用期間が切れるため「健康保険をいちいち切り替えなければならない」ことをはじめ、「雇用条件が事前に示されないまま任用が開始される」「任用通知が勤務開始後に渡される」といった、一般企業で適用される労働基準法からは到底考えられないような問題が多く存在するとのことです。
 また「出産・育児期に任用が継続されない」「産前産後休暇の制度はあるが、代替職員がいないので非常に使いづらい」「授業時数が報酬額の算定基準になっているため、授業以外の準備やテストの採点、授業のない冬休みの生徒や保護者の相談業務などは全てただ働き」といった悲痛な声も現場から寄せられています。
 一方、大分県や熊本県においては、長期休暇中も雇用が継続されるなど運用の柔軟化が図られています。
 
①そこで以下、教育長に伺います。
 今年度、県内公立学校において授業を任されている非常勤講師の人員数と、教員全体に占める割合をお示しください。また、昨年度の非常勤講師の離職率、夏休み後に再度任用されなかった者の率についてもお教えください。

○非常勤講師の勤務時間は、受け持つ授業が週3コマや12コマなどばらつきがあるが、今年度5月1日現在、小学校で833人、中学校で267人、高校で630人を任用しており、教員全体に占める非常勤講師の割合は、小学校で7.8%、中学校で4.6%、高校で11.9%となっている。
 
○また、非常勤講師の任用に当たっては、従事させる業務がない夏季休業期間を除いて、一学期の始業日から夏季休業開始前までと、夏季休業後から学年末までの2つの期間に分けて任用しているところであり、昨年度、夏季休業までに中途で離職した者の割合は、小学校で0.6%、中学校、高校はそれぞれ0.8%となっている。
 また、夏季休業後に任期の中途で離職した者の割合は、小学校、中学校は1.3%、高校は0.5%となっている。
 
○なお、昨年度、一学期の始業日から夏季休業前までに任用されていた非常勤講師が、夏季休業後に同一校で再度の任用とならなかった割合は、小学校で3.9%、中学校で2.6%、高校で4.3%となっている。

②次に、それら県内の非常勤講師の任用にあたっての課題について、教育長はどのように認識されているのかお答えください。また、その解決に向けてどう取組んでいるのかお示しください。

○非常勤講師の任用が必要となる学校と人員は、3月の正規教員の人事異動が確定した後に定まるため、その任用事務は3月末からの極めて短い期間に集中することとなる。
 特に、学校始業日直前に非常勤講師を任用する場合には、勤務条件の説明のみを行い、任用を開始することもあり、任用通知書の交付が遅滞する事例が生じていることもあると認識している。
 
○このため、人事異動内示日を前倒しし事務処理期間の確保に努めており、今後さらに県立学校及び教育事務所に対し、適切な任用手続きについて、指導を徹底してまいる。

③この項の最後に、県教育委員会は、非常勤講師の働く環境の整備をどのように講じているのか、あるいは今後講じる予定があるのか、教育長の見解を伺います。

○総務省からは、夏休み期間中に従事させる業務がない場合、その期間を除き任期を分けることは不適切な取扱いとはならないとの見解が示されており、本県の夏季休業期間を除いて任用している運用は適切なものと考えているが、冬季休業期間については短期間であることも踏まえ、任用を継続させている。
 
○このほか、任期を分けたことに伴い、同一人物を再度任用する場合でも、新たな任用として、その都度、任用事務が生じるとされているが、本県では、非常勤講師の利便性に配慮し、提出書類の弾力化を図っている。
 
○また、令和2年度からの会計年度任用職員制度の導入に伴い、授業時間外の授業準備やテストの採点等にも従事することを前提に、勤務時間や報酬単価の設定を行うとともに、新たに期末手当等の支給を可能としたところである。
 
○県教育委員会としては、非常勤講師は、学校運営を支える重要な存在であると考えており、今後とも、業務の実態に即した適切な勤務命令となるよう、県立学校長等への指導に努めるとともに、実際に働く非常勤講師の声を聞きながら、勤務環境の整備を進めてまいる。